バーネットの戦い

バーネットの戦い：薔薇戦争の転換点

バーネットの戦いは、1471年4月14日にロンドンの北16kmに位置するバーネット近郊で勃発した、薔薇戦争における重要な戦闘です。この戦いは、ヨーク家のエドワード4世と、かつて彼を王位に就けた「キングメーカー」ことウォリック伯リチャード・ネヴィルとの間で繰り広げられました。

戦いの背景

1470年、ウォリック伯はエドワード4世を国外追放し、ランカスター家のヘンリー6世を王位に復帰させました。しかし、ウォリック伯がフランス王ルイ11世の支援に傾倒したことが、ブルゴーニュ公によるエドワード4世への軍事援助を招き、事態は一変します。1471年3月、エドワード4世はイングランドに帰還し、ウォリック伯との対決へと向かいました。

両軍の兵力はほぼ互角でしたが、ウォリック伯は義理の息子であるクラレンス公ジョージの援軍を期待していました。エドワード4世は、ウォリック伯が軍を集結させていたコヴェントリーを避け、ロンドンへ進軍。首都を奪還後、バーネットへと軍を進め、ウォリック伯との決戦に臨みました。

戦闘の展開

ランカスター派の布陣は、右翼をオックスフォード伯、中央をモンターギュ侯、左翼をエクセター公がそれぞれ指揮。左翼はバーネットへと続く街道を封鎖するように配置され、中央、右翼へと展開しました。ウォリック伯自身は予備軍を率いていました。

一方、ヨーク派は街道に中央軍を配置し、エドワード4世自らが指揮。右翼は弟のグロスター公リチャード（後のリチャード3世）、左翼はヘイスティングス卿が率いました。

濃霧の中、戦闘が開始されると、オックスフォード伯率いるランカスター派右翼は、ヨーク派左翼に大きな打撃を与えました。しかし、霧のために連携が取れず、ランカスター派左翼は好機を生かせませんでした。戦線は大きく歪み、一部のランカスター兵は、誤って同士討ちを始めるという混乱も生じました（モンターギュ侯の兵が、オックスフォード伯の兵をエドワード4世の兵と誤認）。

エドワード4世が予備兵力を投入すると、戦況は一気にヨーク派へと傾きました。モンターギュ侯は戦死し、エクセター公は捕らえられロンドン塔に幽閉されました。ウォリック伯は敗北を悟り、ロッサム・ウッドへ逃れようとしましたが、ヨーク派の歩兵に捕捉され、討ち死にしました。

戦いの結末

同日、マーガレット王妃がイングランドに上陸し、ウォリック伯との連携を目指しましたが、バーネットの戦いでのヨーク派の勝利により、その望みは絶たれました。この勝利により、エドワード4世はランカスター派に対する最終決戦（テュークスベリーの戦い）への準備を整え、ヨーク家の優位を確立しました。

バーネットの戦いは、薔薇戦争の流れを大きく変えることになった、重要な戦いでした。

参考文献

* トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

もう一度検索