バーバラ・ボニー

バーバラ・ボニーは、アメリカ合衆国ニュージャージー州で生まれた世界的に著名なソプラノ歌手です。幼い頃から音楽に親しみ、ピアノとチェロを習得しました。13歳で移り住んだメイン州では、ユースオーケストラでチェロ奏者として才能を開花させました。

その後、カナダで著名な声楽家ウォルター・レイニンジャーに師事し、研鑽を積みます。1979年、ドイツのダルムシュタット歌劇場でオペラデビューを果たし、『ウィンザーの陽気な女房たち』のアンナ役を熱演しました。このデビューを皮切りに、わずか5年の間にドイツ各地の歌劇場、そしてイギリスのコヴェント・ガーデン、イタリアのスカラ座といった世界的な舞台で活躍するようになりました。

1988年には、リヒャルト・シュトラウスの傑作オペラ『ナクソス島のアリアドネ』で、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビュー。アメリカでもその実力を認められることとなります。

ボニーのキャリアにおける重要な出来事の一つとして、1994年のウィーン国立歌劇場来日公演が挙げられます。この公演で、彼女はカルロス・クライバー指揮のもと、R・シュトラウスの『ばらの騎士』のゾフィー役を演じ、その圧倒的な歌唱力と表現力で観客を魅了し、絶賛を浴びました。

ボニーは、偉大なリリック・ソプラノ歌手として世界中で高く評価されています。オペラ歌手としての活動だけでなく、ソリストとして数々の演奏会にも出演し、世界的に著名な多くの指揮者と共演を重ねてきました。リート歌手としても多くの録音を残しており、そのレパートリーは非常に幅広いです。モーツァルト、メンデルスゾーン、ツェムリンスキーといった作曲家のリートから、マーラーの声楽つき交響曲、そしてヴェルディの『ファルスタッフ』まで、彼女の音楽性は多岐に渡ります。

近年は、イギリスの王立音楽アカデミーで教鞭を執り、後進の育成にも力を注いでいます。彼女の夫は、スウェーデンの著名なバリトン歌手、ホーカン・ハーゲゴールでした。

1999年10月12日には、茨城県水戸市でリサイタルが予定されていましたが、同年9月に発生した東海村JCO臨界事故の影響を考慮し、公演は残念ながら中止となりました。

バーバラ・ボニーは、卓越した歌唱力と幅広いレパートリー、そして音楽への深い造詣で知られる、真に偉大なソプラノ歌手です。彼女の音楽は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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