バーバリ戦争

バーバリ戦争について

バーバリ戦争、またはトリポリ戦争とは、アメリカ合衆国と北アフリカの現リビアにあたるカラマンリー朝との間で行われた二度の戦争を指します。この戦争の名称は、主に地中海岸に位置するバーバリ諸国がその中心となったことに由来しています。

18世紀から19世紀初頭にかけて、バーバリ諸国は、自らの影響力を背景に地中海を通過する商船から「通行料」と称した金銭を徴収していました。これには、オスマン帝国の影響下にあったこれらの国々が、海賊組織を通じて、商業航路を脅かすかたちでの武力の行使を行っていたという背景があります。

アメリカ合衆国が独立したその直後、国は経済的な困難な状況にあり、バーバリ諸国から要求される通行料が増額されました。合衆国はその支払いができずにいたため、バーバリ海賊たちはアメリカの商船を襲い、乗組員を捕虜として売り飛ばそうとしました。このベースとなった問題は、アメリカが財政難にあったために、身代金の支払いすらできなかったことに起因しています。

このような状況を打破するため、アメリカは武力による解決を選び、アメリカ海軍が海兵隊と共に海賊の拠点を攻撃しました。これにより、海賊の頭目たちに対して商船の襲撃を行わないと誓約をさせ、地中海での安全な航行権を確保する結果となりました。この経緯から、バーバリ戦争は時に「アメリカの忘れられた戦争」とも呼ばれることがあります。

戦争の背後には、アメリカの政治的な背景もあります。トーマス・ジェファーソンやジェームズ・マディソン政権の下、バーバリ諸国に対する制裁が行われました。争いに勝利し、海賊との金銭的な取引を拒絶したことで、当時の民主共和党は、単純な譲歩ではなく、国防のためには多額の財政的負担を厭わないという姿勢を示しました。「Millions for defense, but not one cent for tribute」という有名な言葉が、この方針を端的に表現しています。

さらに、海兵隊の讃歌では、この戦争の重要性が明記されており、「モンテズマの回廊からトリポリの海岸まで」という歌い出しによって、アメリカの海兵隊の貢献を称賛しています。これにより、戦争はアメリカの歴史の中で特別な位置付けとなりました。

関連項目

• - 第1次バーバリ戦争 (1801年-1805年)
• - 第2次バーバリ戦争 (1815年)

この戦争は現在でも多くの人々に記憶されており、アメリカの海軍の歴史や国際関係の形成に影響を与えた重要な出来事とされています。

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