バーバレラ

バーバレラ：漫画、映画、そしてミュージカル

1962年、ジャン＝クロード・フォレによって生み出された『バーバレラ』は、フランスを代表するSFコミック、そして主人公の名前です。大胆な描写と独特の世界観で知られるこの作品は、漫画から映画、ミュージカルへとメディアを横断し、世界中で人気を博しました。本稿では、それぞれのメディアにおける『バーバレラ』の魅力を掘り下げていきます。

漫画版『バーバレラ』：検閲をくぐり抜けた官能的冒険

『V Magazine』誌に連載された『バーバレラ』は、大人向けのバンド・デシネとして注目を集めました。1964年の初版は、豪華な装丁で話題を呼びましたが、その大胆な描写から検閲の対象となり、宣伝活動が禁止される事態に。しかし、1968年の映画化を機に修正版が出版されると、今度は空前のヒットを記録しました。

バーバレラは、銀河系を舞台に数々の冒険を繰り広げる魅力的な女性キャラクターです。彼女の冒険は、時に危険を伴い、時に官能的な要素を含みます。独特のユーモアとスタイリッシュな作画が、多くの読者を魅了しました。単なるSF冒険譚ではなく、社会風刺や性的な表現を取り込むことで、当時の読者に衝撃を与えたとも言われています。

映画版『バーバレラ』：キッチュな演出と官能的な世界観

フランスとイタリアの合作で製作された1968年の映画版『バーバレラ』は、原作漫画の世界観を忠実に再現しつつ、ロジェ・ヴァディム監督独特の演出が加えられています。無重力状態でのストリップティーズや、性的拷問装置「オルガスマトロン」といったシーンは、当時の観客に衝撃を与え、話題を呼びました。

ジェーン・フォンダ主演によるバーバレラは、セクシーな衣装をまといながら、様々な困難に遭遇します。幼児に人形のように扱われたり、鳥の群れに襲われたりするなど、被虐的な描写も含まれますが、それはあくまでユーモラスな表現として、映画全体のおふざけのような雰囲気に溶け込んでいます。

ストーリーは、地球大統領からの密命を受けたバーバレラが、陽電子光線発生装置を発明した科学者デュラン・デュラン博士を探すことから始まります。タウ星を舞台に繰り広げられる冒険の旅は、セックスに満ちたものであり、惑星の地下都市を支配する女王や悪党デュラン・デュランとの対決は、映画全体を彩る重要な要素となっています。特殊効果や美術も、キッチュなスタイルで統一され、独特の世界観を演出しています。

映画の製作には900万ドルという巨額の費用が投じられ、英語とフランス語の2種類のバージョンが制作されました。主演のフォンダはフランス語版でも自ら吹き替えを担当した一方、他の俳優は異なる俳優が吹き替えを担当したという興味深いエピソードもあります。

ミュージカル版『バーバレラ』：ウィーンでの華麗なる上演

映画版『バーバレラ』を基にしたミュージカルは、2004年3月、オーストリアのウィーンで初演されました。デイヴ・スチュワートによる書き下ろし作品で、ニナ・プロールが主演を務め、2005年1月まで上演されました。限られた部数のCDが制作され、ウィーンミュージカルクラブのメンバーに配布されたという、珍しい経緯も持っています。

そして、未来へ

『バーバレラ』は、漫画、映画、ミュージカルと様々な形で展開され、現在も世界中のファンを魅了し続けています。大胆な描写と独特の世界観は、時代を超えて人々の心を掴み、リメイク計画なども浮上するなど、その人気は衰えることを知りません。これからも、『バーバレラ』という作品が、新たな形で私たちの心を捉えてくれることでしょう。

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