バーミンガム市交響楽団

バーミンガム市交響楽団（City of Birmingham Symphony Orchestra, CBSO）は、イギリスの主要オーケストラの一つであり、バーミンガムを拠点としています。

歴史

1920年にバーミンガム市管弦楽団として設立され、エドワード・エルガーの指揮による最初の演奏会で幕を開けました。この設立には、グランヴィル・バントックの尽力も大きく、彼の演奏会用序曲『サウル』が最初のプログラムに取り上げられました。1948年に現在の名称に変更されました。

国際的な評価の確立

創立当初から活発な演奏活動と録音を行っていましたが、国際的な名声を得るようになったのは、1980年にサイモン・ラトルが首席指揮者に就任してからです。ラトルは、前任者ルイ・フレモーが築いた基盤を受け継ぎつつ、オーケストラの演奏水準とレパートリーを飛躍的に拡大しました。彼の指揮下で、CBSOはヨーロッパ屈指の合奏団として評価されるようになり、特にロマン派音楽と現代音楽の解釈において高い評価を得ました。また、ハイドンの交響曲の録音では、早くからピリオド奏法を取り入れるなど、革新的な試みも行っています。
ラトルの在任中には、本拠地をバーミンガム・タウン・ホールから、バーミンガム市国際コンベンション・センター内のシンフォニー・ホールに移転しました。さらに、1990年には提携作曲家制度が設けられ、マーク＝アンソニー・タネジが最初の提携作曲家となり、1995年からはジュディス・ウィアがその役割を引き継ぎました。

近年の活動

ラトルの後任として、サカリ・オラモ、アンドリス・ネルソンスが音楽監督を務め、2023年4月からは山田和樹が首席指揮者に就任、2024/2025シーズンからは音楽監督を務めています。

主要な歴代指揮者

アプルビー・マシューズ（1920年 - 1924年）
エイドリアン・ボールト（1924年 - 1930年、1959年 - 1960年）
レスリー・ヒュアード（1930年 - 1943年）
ジョージ・ウェルドン（1944年 - 1951年）
ルドルフ・シュワルツ（1951年 - 1957年）
アンジェイ・パヌフニク（1957年 - 1959年）
ヒューゴ・リグノルド（1960年 - 1969年）
ルイ・フレモー（1969年 - 1978年）
サイモン・ラトル（1980年 - 1998年）
サカリ・オラモ（1998年 - 2008年）
アンドリス・ネルソンス（2008年 - 2015年）
ミルガ・グラジニーテ＝ティーラ（2016年 - 2022年）
* 山田和樹（2023年 - ）

録音

CBSOは、自国の作曲家マルコム・アーノルドの交響曲や管弦楽曲、特に序曲『ピータールー』などの録音で知られています。また、サイモン・ラトル時代には、ケネス・ブラナー監督・主演の映画『ヘンリー五世』（1989年）のサウンドトラック（作曲：パトリック・ドイル）を録音しました。

バーミンガム市交響楽団は、長年にわたりイギリス音楽界を牽引し、国際的な舞台でもその実力を示してきたオーケストラです。今後の活動にも注目が集まっています。

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