バーンズ・コレクション

バーンズ・コレクション

バーンズ・コレクション（Barnes Collection）は、アメリカ合衆国のフィラデルフィア郊外、ローワー・メリオンに位置するバーンズ財団が所有する美術作品コレクションです。このコレクションは、美術コレクターおよび研究者であるアルバート・C・バーンズによって集められたもので、主にフランスの近代絵画約2500点を含んでいます。2012年には、所蔵作品の展示施設がフィラデルフィアの中心部に移転し、新たに開館しました。

沿革

アルバート・C・バーンズ（1872年-1951年）は、1912年から本格的に美術品の収集を始めました。彼は1922年、アートコレクションを管理し、教育的な目的を持つための財団を設立しました。この財団はペンシルベニア大学と提携し、美術教育プログラムを実施しました。バーンズはフランスの印象派の作品、特にピエール＝オーギュスト・ルノワールやアンリ・マティスに関する研究書を数多く執筆しており、そのため単なるコレクターではなく、真の美術研究家でもありました。

彼のコレクションは当初、アメリカでは低く評価されており、バーンズは自らのコレクションへの批判を受け、その観覧は教育目的に限って非公開としました。彼の態度は、他の研究者や批評家との摩擦を生む原因となり、名が知られた多くの著名人が観覧を断られることになりました。アンリ・マティスとは友好関係を築き、1930年には彼による《ダンス》の壁画が完成しました。

バーンズの死後、彼のコレクションは非公開であったが、展示室改修の資金集めの目的で、ワシントンのナショナル・ギャラリーやパリのオルセー美術館に一部が貸し出されることになりました。さらに、1994年には東京の国立西洋美術館で展覧会が開催され、これらの作品が広く公開されることとなったのです。

2002年、バーンズ財団は運営規則の変更を求め、フィラデルフィア中心部への移転を計画しました。財団の財政状況が影響していましたが、移転は創立者の意向を無視するものであるとの意見もありました。2004年には移転が認められ、2012年には新しい施設としてベンジャミン・フランクリン・パークウェイに開館しました。

コレクターとしてのバーンズ

バーンズはペンシルベニア州で育ち、医学を学びましたが、のちに製薬業で成功し、財を成しました。しかし、彼は美術品収集にも熱心であり、友人の画家の助言を受けながら1912年にパリでコレクションを本格的に始めました。彼のコレクションには、印象派の巨匠たちの作品が多く、特にルノワールやセザンヌに関しては数多くの作品を所有していました。第一次世界大戦の影響で一時的に収集活動は中断されましたが、1921年に再開し、ポール・ギヨームという有名な画商と関わりを持ちました。

コレクションの特徴

バーンズ・コレクションには、ピエール＝オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソなどの作品が含まれています。特に印象派に貢献したフランスの画商ポール・デュラン＝リュエルから100点以上の作品を購入し、贅を尽くした展示方法で知られています。作品は色彩や構成、形、バランスに基づいて特異な美学で展示され、他の美術館とは違った方法が取られています。入館は予約制で、2012年以降もそのスタイルを維持しています。

バーンズ・コレクション展

近年、1994年には東京の国立西洋美術館で開催された『バーンズ・コレクション展』が話題となり、107万人以上が訪れました。この展覧会によって、バーンズのコレクションの重要性が国内外で広く認識されたのです。情報を求める人々にとって、バーンズ・コレクションはただの美術館ではなく、美術を学び、体験する場でもあるのです。

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