パウンダル

パウンダル（poundal, 記号: pdl）は、[FPS単位系]]（ヤード・ポンド法）における力の単位です。1877年に導入され、その定義は「質量1ポンド(lb)の物体に1フィート毎秒毎秒(ft/s²)の加速度を生じさせる力」とされています。これは、国際単位系]における力の単位であるニュー[[トンや、CGS単位系におけるダインの定義をヤード・ポンド法に適用したものです。

パウンダルの定義

パウンダルは、以下の式で表されます。


1 pdl = 1 lb ft/s²


ここで、`lb`は質量ポンド、`ft`はフィート、`s`は秒を表します。現在では、ポンドやフィートはSI単位に基づいて定義されているため、1パウンダルは正確に0.138254954376 N（ニュートン）に相当します。

パウンダルの背景

力学の単位を導入する際、ニュートンの運動方程式`F = ma`（力=質量×加速度）において、力と質量のどちらかの比例係数を取り除く必要があります。パウンダルは、力の単位の値を調整することで比例係数を取り除いたものです。

具体的には、1ポンド（重量ポンド）の「力」は、1ポンド（質量ポンド）の「質量」を32.174049 ft/s²（標準重力加速度`g` = 9.80665 m/s²）で加速させます。パウンダルは、この加速度が1 ft/s²になるように力の単位の値を小さく調整した結果、重量ポンドの約1/32の値になります。

例えば、1200パウンダルの力は、質量150ポンドの人を8 ft/s²の加速度で加速させることができます。


150 lb 8 ft/s² = 1200 pdl

他の単位系との比較

パウンダルを使用する単位系は、ポンドを力の単位（重量ポンド）として使用する単位系と対比されます。後者の単位系では、質量の単位に標準重力加速度`g`に由来する約32の比例係数が含まれます。この場合、1重量ポンドの力は1ポンドの質量を約32 ft/s²で加速させます。この単位系において、加速度を1 ft/s²にするために質量の単位を大きく調整したものがスラグです。1スラグは約32ポンドに相当します。

スラグと重量ポンドを使用すると、上記の例は以下のように表されます。


4.66 slug 8 ft/s² = 37.3 lbF

注意点

スラグとパウンダルは、互いに同じ単位系で使用されることはありません。これらは、同じ問題に対して正反対のアプローチで生まれた単位です。

別の方法として、力や質量の単位は変えずに、加速度の単位を変えるアプローチもあります。この場合、質量ポンドや重量ポンドをそのまま使用し、「1重量ポンドの力は1ポンドの質量を標準重力加速度gで加速させる」とします。この単位系では、上記の例は以下のように表されます。


150 lb 0.249 g = 37.3 lbF

パウンダルの利点

力にパウンダル、質量にポンドを使う単位系は、計測場所の重力加速度に影響されないという利点があります。月面や深宇宙においても、`F = ma`は`pdl = lbm ft/s²`として成立し、地球の重力加速度に依存する定数を避けることができます。

換算

1パウンダル (pdl) ≈ 0.138255 ニュートン (N)

関連項目

スラグ (単位)

出典

* Obert, Edward F., “Thermodynamics”, McGraw-Hill Book Company Inc., New York 1948; Chapter I, Survey of Dimensions and Units, pages 1–24.

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