パオロ・ジョルダーノ・オルシーニ

パオロ・ジョルダーノ1世・オルシーニは、1541年に生まれ、1585年11月13日に没した、16世紀イタリアの波乱に満ちた生涯を送った人物です。彼はコンドッティエーレ（傭兵隊長）であり、初代ブラッチャーノ公として知られています。

生い立ちと家系

パオロは、ジローラモ・オルシーニとフランチェスカ・スフォルツァの間に生まれました。父方の祖先には、デッラ・ローヴェレ家出身の教皇ユリウス2世が、母方の祖先にはファルネーゼ家の教皇パウルス3世がいます。この由緒ある家系は、彼の人生に大きな影響を与えました。

結婚と軍事活動

1558年、パオロはトスカーナ大公コジモ1世の娘、イザベッラ・デ・メディチと結婚しました。この結婚は、オルシーニ家とメディチ家の間の政治的な結びつきを強めるものでした。軍人としてのパオロは、1571年のレパントの海戦に参加し、1573年にはチュニス遠征でスペイン軍のガレー船6隻を指揮しました。これらの戦いで武功を上げ、彼の軍事的な才能を示しました。

悲劇的な事件と逃亡

しかし、パオロは粗野で暴力的な性格の持ち主でした。1576年、彼はフィレンツェ近郊のヴィラ・チェレット・グイディで、自身の従弟トロイロと浮気をしていた妻イザベッラを自らの手で殺害しました。この事件は、当時の社会に大きな衝撃を与えました。さらに、イザベッラの兄であるフランチェスコ1世・デ・メディチもこの事件に関与していたとされる説もあります。同年に、パオロはトロイロも殺害しました。

これらの事件により、彼はローマに逃亡し、人妻であるヴィットーリア・アッコランボーニと内縁関係となりました。その後も、彼は邪魔になったヴィットーリアの夫、フランチェスコ・ペレッティを1583年に暗殺しました。フランチェスコ・ペレッティは、後に教皇となるシクストゥス5世の甥にあたります。

逃亡と結婚、そして死

教皇庁とトスカーナ大公国の両方からお尋ね者となったパオロは、ヴィットーリアと共にヴェネツィア、アーバノ、サロと北イタリアを逃亡しました。1585年4月、二人は正式に結婚しますが、そのわずか数ヶ月後の1585年11月、パオロは亡くなります。さらに、パオロの死後、ヴィットーリアも12月にルドヴィーコ・オルシーニによって暗殺されました。この暗殺は、パオロが関与したとされるロベルト・オルシーニの暗殺に対する報復でした。

後継者

パオロの領地は、イザベッラとの間にもうけた子であるヴィルジニーノが引き継ぎました。

パオロ・ジョルダーノ1世・オルシーニの生涯は、権力と欲望、そして愛憎が複雑に絡み合った、激動の時代を象徴するものでした。彼の行動は、多くの悲劇を引き起こし、その死後も長く語り継がれることとなりました。

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