パガン王朝

パガン王朝：ビルマ族最初の統一王朝

パガン王朝（849年頃 - 1314年）は、現在のミャンマーに存在したビルマ族最初の統一王朝です。イラワジ川流域に拠点を置き、上座部[[仏教]]を国教として繁栄しました。その壮麗な寺院群は、今日でもバガン遺跡としてその姿を留めています。

王朝の成立と発展

ビルマ族は、南詔の勢力拡大に伴い、上ビルマに南下しました。849年頃、彼らはピュー族の集落があったパガンに都を築き、王朝を樹立しました。パガンは稲作には不向きな土地でしたが、米どころであるチャウセー地方とミンブー地方の中間点に位置し、交易の要衝として発展しました。

王朝の基礎を築いたのは、アノーヤター王（1044年 - 1077年）です。彼は周辺諸国を征服し、領土を拡大するとともに、上座部[[仏教]]を導入し、国教としました。また、南方のモン族の文化を取り入れ、ビルマ文化の発展に貢献しました。

3代目のチャンシッター王は、アノーヤター王の遺業を継ぎ、内政の充実に努めました。灌漑事業を推進し、農業生産力を向上させるとともに、ビルマ族とモン族の融和を図り、国内の安定に尽力しました。

ナラパティシードゥー王の時代に、王朝は最盛期を迎えました。彼はチャウセーやシュエボーで灌漑事業を実施し、生産力を高め、支配領域をマレー半島の付け根まで広げました。文化面でも、ビルマ独自の文化の萌芽が見られるようになりました。

王朝の衰退と滅亡

ナラパティシードゥー王の死後、王朝は徐々に衰退に向かいました。寺領の増加による収入の減少、治安の悪化が国の発展に影を落としました。13世紀には、モンゴル帝国の侵攻を受け、1287年に首都パガンは陥落しました。

ナラティーハパテ王はパガンを放棄して逃亡し、その後暗殺されました。後継者争いも激化し、王朝は混迷を深めました。1[[299年]]には、シャン族の3兄弟によってチョウスワー王が廃位され、ソウニッ王が擁立されました。しかし、ソウニッ王は実権を持たない名目だけの王であり、1314年にパガン王家に代々伝わる金帯と金盆がティハトゥに送られたことで、王朝は名実ともに滅亡しました。

社会と文化

パガン王朝の社会は、王族、廷臣、一般庶民、仏僧、奴隷で構成されていました。主要な民族はビルマ族でしたが、パラウン族、モン族、シャン族、ワ族、クメール人など、多様な民族が王国内に居住していました。

王朝の文化は、上座部[[仏教]]の影響を強く受けていました。寺院や仏塔が数多く建立され、その建築技術はビルマ芸術の頂点とされています。また、ビルマ文字が発達し、文学作品も生まれました。

バガン遺跡

パガン王朝の首都であったパガンには、現在でも数千もの寺院や仏塔が残っています。これらの遺跡は、バガン遺跡として世界遺産に登録されており、ミャンマーの主要な観光地となっています。バガン遺跡には、シュエズィーゴン・パゴダ、アーナンダ寺院、ダマヤンジー寺院など、数多くの見どころがあります。

パガン王朝は、ビルマの歴史において重要な位置を占める王朝です。その文化や社会制度は、後の王朝にも大きな影響を与えました。バガン遺跡は、パガン王朝の繁栄を今に伝える貴重な遺産です。

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