シャン族

シャン族：インドシナ半島のタイ系民族

シャン族は、インドシナ半島に居住するタイ系諸民族の一つです。タイ王国に住むタイ人（シャム人）と共通の祖先を持ち、近縁関係にあります。シャン、タイ・ヤイ、パイ・イなど様々な呼び名があり、中国では「擺夷」や「白夷」と呼ばれてきました。一般的にミャンマーのシャン州の平地に住む人々を指しますが、タイ北部などにも居住地域があります。人種的には、南部モンゴロイドとインドシナ人の混血であると考えられています。尚、「シャン」という名称は、タイ族を指す外国語の「シャム」がビルマ語で変化したものです。タイ語では「タイ・ヤイ（大タイ族）」と呼ばれることも多く、「ギアオ」や「タイ・ルワン」といった呼称もあります。

シャン族の分類と勢力

シャン族は大きく5つの主要集団に分類でき、中国ではタイ・ルー族とタイ・ヌーア族をタイ族に含めることもあります。居住地域から分類する際には、ビルマ・シャン、中国シャン、カムティ・シャンの3つに大別される場合もあります。

ミャンマーでは、人口は約200万人でビルマ人に次ぐ規模の民族集団です。政治的には自治州を形成しており、村落には村民が選出した村長がいます。親族組織はシンプルで、氏族のような大きな集団はなく、夫婦と子供からなる小家族が村社会の基本単位となっています。タイにもシャン族が居住しており、特に北部メーホンソーン県にはシャン語を母語とする集団が存在します。

シャン族の生活

シャン族は古くからの稲作農耕民族です。水牛を用いた水田耕作が中心で、人工灌漑施設が整備されています。稲作に加え、トウモロコシ、豆類、サトウキビ、果物なども栽培しています。住居は東南アジア特有の杭上式家屋で、床下は家畜小屋として利用されるのが一般的です。

シャン族の宗教

シャン族は、ビルマ人、タイ人、ラオス人と同様に上座部仏教を信仰しており、各村には寺院（ワット）が存在します。男性は原則として生涯に一度は出家修行をする習慣がありますが、僧侶の社会的地位は高いです。仏教に加え、ピーやナットと呼ばれる精霊崇拝（アニミズム）も深く根付いています。かつては男性の刺青の習慣がありましたが、現在ではほとんど見られなくなっています。

現代のシャン族

ミャンマーにはシャン族が多く居住する難民キャンプが少なくとも一か所存在しています。これは、ミャンマー国内における政治的・社会的な状況を反映していると言えるでしょう。シャン族は独自の文化とアイデンティティを維持しながら、現代社会の中で様々な課題に直面しています。

関連事項

シャン諸民族民主連盟
シャン州軍（SSA-S、SSA-N）
東シャン州民族民主同盟軍 (NDAA-ESS)
タイ族
アーホーム族
ピンヤ朝
アヴァ王朝
コーカン
ワ州
シャン語
* ビルマ風豆腐

シャン族の歴史と文化は複雑で多様であり、その理解には更なる研究と考察が必要です。この概要が、シャン族への理解を深める一助となれば幸いです。

もう一度検索