パキータ

バレエ『パキータ』について

『パキータ』（Paquita）は、1846年にフランスで初演された全2幕3場のバレエ作品です。ジョゼフ・マジリエが原振付、エドゥアール・デルデヴェスが音楽を手がけました。

あらすじ

物語は、ナポレオン軍占領下のスペインを舞台に展開します。ジプシーの娘パキータが、フランス軍将校リュシアンを陰謀から救い、恋に落ちるというロマンティックなストーリーです。スペイン風の踊りやジプシーの踊りなど、民族色豊かな見せ場が多く盛り込まれています。

第1幕

サラゴサ郊外の谷では、デルヴィリ将軍とその息子リュシアン、総督ロペス、ロペスの妹セラフィナが集まっています。デルヴィリ伯爵は、息子を総督の妹と結婚させようとしますが、リュシアンはセラフィナに愛情を感じず、乗り気ではありません。総督ロペスも、フランス軍を憎んでいます。

そこへ、イニゴ率いるジプシーの一団が現れます。その中に、ジプシーらしからぬ雰囲気のパキータがおり、リュシアンは彼女に惹かれます。イニゴは以前からパキータに好意を抱いており、リュシアンに激しい嫉妬心を抱きます。総督ロペスは、イニゴを利用してリュシアン暗殺を企てます。

第2幕

第1場：ジプシーの住居で、パキータはリュシアンへの思いに悩んでいます。そこに仮面をつけたロペスとイニゴが現れ、リュシアン暗殺計画を知ったパキータは、阻止しようとします。リュシアンがやってきて毒酒をすすめられますが、パキータはそれを阻止します。リュシアンも異変に気づき、パキータは隙を見て杯を入れ替え、イニゴが毒酒を飲んで倒れます。

第2場：サラゴサのフランス軍司令官邸で舞踏会が開かれます。リュシアンがパキータを連れて現れ、自身を救った彼女を紹介します。リュシアンはその場で求婚しますが、身分の違いからパキータは拒否します。しかし、パキータは総督ロペスが仮面の男だと見破ります。悪事が露見したロペスは連行され、危機は去ります。

パキータは、自分がデルヴィリ将軍の亡き弟の娘であることを知ります。家族として迎え入れられ、喜びの中で舞踏会が始まります。

歴史

『パキータ』は、1846年4月1日にパリの帝室音楽アカデミー（現在のオペラ座）で初演されました。カルロッタ・グリジがパキータ役、リュシアン・プティパ（マリウス・プティパの兄）がリュシアン役を踊りました。批評家からは、舞台装飾とグリジの踊りが高く評価されました。

1847年には、マリウス・プティパがロシアで新演出を手がけました。1881年には、レオン・ミンクスの音楽によるパ・ド・トロワとグラン・パが追加され、大幅な改訂が行われました。プティパの死後、全幕ではなく第3幕のみが上演されるようになり、1957年にK・ボヤルスキーがグラン・パのみを再演、ジョージ・バランシンやアレクサンドラ・ダニロワがミンクスの楽曲部分を集成したものを1幕物として復活させました。

2001年1月には、パリ・オペラ座でピエール・ラコットにより、1881年版の全曲上演が行われました。マジリエの原振付が伝わっていないため、プティパによる追加部分以外はラコットが新たに振付けて2幕構成に復元されました。

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