パケットライト

パケットライトとは

パケットライトとは、ライトワンス（Write Once Read Many、WORM）メディア、例えばCD-RやDVD-Rなどに対して、データをファイルシステムとして記録するための方式の一つです。従来のディスクアットワンスなどの記録方式とは異なり、データをパケットと呼ばれる小さな単位に分割して書き込んでいきます。これにより、まるで上書き可能なディスクのように、ファイル単位での記録や消去が可能になります。

パケットライトの仕組み

パケットライトの最大の特徴は、ファイナライズ（セッションを閉じる）という作業が不要な点です。従来の方式では、ディスクへの書き込みを完了させるためにセッションを閉じる必要がありましたが、パケットライトでは追記のみで完結します。このため、ユーザーはファイルを自由に追加・削除できる一方、実際にはメディア上にデータが追記されていくという仕組みになっています。ファイルを消去しても、実際にはデータが残存し、ディスクの空き容量が増えるわけではありません。ライトワンスメディアの場合、追記ができなくなるとROMメディアと同等の状態になります。

UDFによる標準化

初期のパケットライトは、各メーカーが独自規格を採用していたため、互換性の問題が深刻でした。しかし、現在ではUDF（Universal Disc Format）という統一規格が採用され、OSレベルでの標準対応が進んでいます。これにより、近年普及しているBD（Blu-ray Disc）などでは、USBフラッシュメモリのように手軽にデータの書き込みや削除ができるようになりました。また、UDFとは別に、パケットライトは過去の状態が全て残るログ構造のような性質を持っており、対応するファイルシステムであれば、過去のある時点のファイル内容を遡って参照することも可能です。

対応OS

Windows: Windows Vista以降では「ライブファイルシステム」という名称で、OS標準でUDFパケットライトに対応しています。Windows 10では、空のディスクを挿入すると、標準でライブファイルシステム形式でのフォーマットが選択されるようになっています。
Mac: Mac OS X Leopard以降で対応しています。
Linux: Linux 2.6.x以降で対応しています。

メリット

ファイル単位での操作: ファイルの書き込みや消去を自由に行えます。
ロバスト性: 書き込みエラーが発生した場合でも、追記によって対応できます。
保存性: 他のメディアと同様に、傷や埃に注意すれば高い保存性が期待できます。

デメリット

初期の頃は、メーカー間の互換性問題が深刻でした。異なるパケットライトソフトで読み書きを行うと、ファイルが読めなくなることがありました。現在ではUDFで統一されていますが、独自仕様が残っている場合もあり、フォーマットしたメーカー以外のソフトで読み書きすると、データが破損する可能性があります。

また、パケットライトソフトウェアは常に常駐し、メモリを消費します。ハードウェアを直接制御するため、バグや相性によっては、パソコンの動作が不安定になることもありました。

CD-RやCD-RWの場合、フォーマットに時間がかかり、また、データ管理領域が大きいため、ユーザーが利用できる容量がディスクアットワンスよりも少なくなります。DVD以降のメディアでは、この問題は軽減されています。

その他にも、以下のようなデメリットがありました。

他のライティング方式に比べて、ドライブの読み込み能力が低下したり、相性問題が発生することがある。
書き込み速度が遅い。
データの取り出しが遅い（マシンのスペックにも依存）。
対応ドライブでないと読み込めない。
音楽CD、ビデオCD、DVDビデオなどは作成できない。
OSがパケットライト方式に対応する必要があり、ドライバの追加が必要な場合がある。
一部のアプリケーションやゲームで、パケットライトソフトウェアが不具合を引き起こす場合がある。

仕様

UDF: バージョン1.5からパケットライトに対応
その他: ソニーのCD-RFS(CD-R File System)、業界団体OSTA(Optical Storage Technology Association)のCDUDF、Mount Rainierなど

主なソフトウェア

Drag to disc ver.9 / DLA (Drive Letter Access) （Sonic Record Now!）
B's Clip / B's Clip7 (B's Recorder Gold)
Drag to disc / DirectCD (Easy CD Creator)
InCD / abCD (Nero)
Packetman / Packetman for Windows (WinCDR)

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