ビデオCD

ビデオCD（VCD）について

ビデオCD（Video CD、略称VCD）は、デジタル映像を記録できるコンパクトディスク形式の一つで、1993年に発表されました。従来のアナログメディアであるレーザーディスクやVHS、ベータマックス、8ミリビデオとは異なり、VCDはデジタル形式で映像を保存します。そのため、映像の品質は比較的安定しており、ジッターやノイズが少なく、エラー訂正機能によって傷や汚れがあっても再生可能という特性があります。これらの特徴のおかげで、ビデオCDは当初一定の人気を集めましたが、次第にDVDなどの新しいメディアに取って代わられることになりました。

規格・仕様

ビデオCDの映像は、NTSC方式で352×240ピクセル、PAL方式で352×288ピクセルの解像度に標準化されています。これはDVD（480i、576i）に比べて約4分の1の画素数しかないと言えるでしょう。しかし、再生時には画像が補完され、テレビに出力される際には例えばNTSCで720×480ピクセル、PALで720×576ピクセルの解像度に改善されます。また、圧縮にはMPEG-1を採用し、オーディオ部分もMPEG-1 Layer 2形式によって圧縮されています。

特徴

ビデオCDは、画質においてVHSの3倍モードに匹敵するとされますが、動きの激しいシーンではブロックノイズが頻繁に見られるため、完璧な再生体験とは言えません。また、再生機器の多くはビデオCDに対応していたものの、2000年代中盤以降、DVDやBlu-rayなど新しい規格が普及するにつれて、ビデオCD対応の機器は減少していきました。

日本と海外での普及

日本国内ではVHSに勝る画質を持つVCDも、一部の映画作品が2〜3枚組でリリースされるなどしたものの、映像タイトルの中心は主にカラオケやアニメが占めました。結果的にVHSの広範な普及には及ばず、DVDの登場に伴い商業的な利用は短期間にとどまりました。

一方、アジアの一部地域、特に香港やフィリピン、台湾では比較的手頃な価格で製造可能なビデオCDが多く受け入れられ、人気を博しました。2009年には、DVDが主流になってもなお一部の作品がビデオCDとして流通していました。ただ、これらの作品には海賊版も多く、コピーガードやリージョンコードが施されていない点も問題視されていました。中国市場でも、VHSが普及していなかったことから多くの企業がビデオCDの展開を進めました。

類似規格

ビデオCDの後を追う形で、スーパービデオCD（SVCD）などの規格も登場しました。これらはDVD同様、より高画質を目指すもので、ビットレートが格段に高くなっています。さらに、特定の地域で独自に普及しているDVCDやダブルビデオCDといった形式も存在しますが、いずれも正式な標準化はされていません。

結論

総じて言えるのは、ビデオCDは短命ながらも、デジタル映像メディアの先駆けとして一時代を築いたメディアであるということです。新しい規格と技術の進歩によってすぐに過去の遺物となりましたが、当時のメディアの中で一定の地位を占めていたことは否めません。

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