パコルス2世

パコルス2世（生年不詳 - 105年、在位：西暦78年 - 105年）は、アルサケス朝パルティアの王であり、その治世は多くの内紛と外部からの侵略に悩まされました。

生い立ちと王位継承

ヴォノネス2世の息子として生まれたと伝えられるパコルス2世は、兄であるヴォロガセス1世によってアトロパテネ王国の王に封じられました。しかし、ヴォロガセス1世の治世後半に激化したアラン人の侵入を防ぐことができず、71年に王位を失いました。78年にヴォロガセス1世が死去すると、パルティア王位を巡ってヴォロガセス1世の息子であるヴォロガセス2世と激しい争いを繰り広げました。

王位を巡る争い

パコルス2世は、パルティアの西部領土を拠点に勢力を拡大し、80年にはヴォロガセス2世を追放することに成功しました。しかし、その年のうちにアルタバヌス3世がパルティア王を宣言し、パコルス2世に対抗する勢力として台頭しました。アルタバヌス3世は、10年間にわたりパルティア西部で影響力を保持し、造幣所を抑えてコインの発行権を掌握するなど、その勢力は無視できないものでした。

パルティアの再統一と外交

90年頃、パコルス2世の侵攻によってアルタバヌス3世は失脚し、パルティアはパコルス2世のもとで再統一されました。彼の治世下でパルティアは一時的な安定を取り戻し、周辺諸国との外交関係も積極的に展開しました。97年頃には、ローマ帝国を目指して派遣された漢王朝の使節である甘英を接見したとされています。この時、甘英と会見したパルティア王はパコルス2世であると考えられています。

その死とその後

105年頃、パコルス2世が死去する直前には、パルティア東部領土でヴォロガセス3世がパルティア王を名乗り、独自のコインを発行するようになっていました。これは、パコルス2世の死後、再びパルティアが分裂の危機に瀕していたことを示唆しています。パコルス2世の死後、西部領土における彼の地位は兄弟であるオスロエス1世に引き継がれ、新たな王位争いの火種となりました。

パコルス2世の治世は、パルティア王国の衰退期における混乱と苦難の時代を象徴しています。彼の時代は、内紛や外敵の侵入、そして王位を巡る争いが絶えず、パルティア王国の安定を大きく揺るがしました。しかし、彼の治世下でもパルティアは東西交易の要衝としての役割を果たし続け、ローマ帝国や漢王朝との外交関係を通じて、国際的な存在感を示しました。

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