パスカル・パオリ

パスカル・パオリの生涯と功績

パスカル・パオリ（Pascal Paoli、1725年4月6日 - 1807年2月5日）は、コルシカ島の独立運動の指導者であり、政治家・軍人としての顔を持つ重要な歴史的人物です。彼のフルネームはフィリッポ・アントーニオ・パスクワーレ・ディ・パオリで、コルシカの民族主義運動の象徴的存在として広く認知されています。

生い立ちと初期の経歴

パオリはコルシカのモロサリアで生まれました。1739年、父と共にナポリに亡命し、1745年にはナポリ大学に入学して学びました。ここでの教育を経て、シチリア王国で軍人として活動を開始します。しかし、コルシカの情勢を危惧したパオリは、ガッフォーリの暗殺事件を受けて帰国を決意しました。

1755年にコルシカに戻ると、彼は共和国の評議会によって「将軍」の地位に任命されました。この職において、彼は近代国家としてのコルシカの整備を進め、憲法等の発布を行いましたが、1768年にフランスがコルシカの領有権を引き継ぐと、彼の理想の実現は困難に直面します。

フランスへの抵抗と亡命

コルシカにおけるフランスの侵攻は、パオリにとって大きな打撃でした。彼はポンテ・ノーヴォの戦いで敗北を喫し、フランスの支配下から逃れるためにイギリスに亡命します。その後、フランス革命が起こると、彼は再びコルシカに帰還する機会を得ます。

革命後、パオリはコルシカの独立を心から望みつつも、一方で革命の流れに懸念を抱いていました。特に、王制を打倒した革命の行動が彼の理念と相容れないものであったため、革命政権との対立が生じます。ナポレオン・ボナパルトはかつて彼を尊敬していたものの、次第に両者の立場の違いが鮮明になりました。

パオリ派の形成とその後

パオリは、イギリスの間接統治を支持するパオリ派を形成します。しかし、1793年にナポレオン一族により、彼に対する逮捕命令が出されました。アジャクシオの騒乱の中、パオリ派はボナパルト一族を島から追放しますが、彼自身は1794年にイギリスの統治を受け入れてアングロ＝コルス王国を成立させました。しかし、1795年には副王と対立し、再びイギリスによって島から去らざるを得なくなります。

その後、1796年にはナポレオンがコルシカを再占領し、パオリは亡命先のロンドンでその報を受けました。これ以降、彼はコルシカ島に戻ることはなく、1807年に83歳で生涯を閉じます。

偉大な指導者としての評価

パオリの遺体は1889年になって故郷のモロサリアに戻され、そこで埋葬されました。彼の功績はコルシカ島において今もなお高く評価されており、コルシカの民族意識の象徴として人々に崇敬されています。また、彼の生涯は独立や自由のための闘いの重要性を物語っており、現代に生きる私たちに多くの教訓を提供しています。

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