パスカル・リシャール

パスカル・リシャール（Pascal Richard、1964年3月16日 - ）は、スイス出身の元プロロードレース選手です。1986年にプロデビューし、2000年に引退するまで、主に山岳ステージや山岳コースのクラシックレースでその才能を発揮し、通算68勝を上げました。

元々はシクロクロス選手としてキャリアをスタートさせ、1988年には世界選手権シクロクロス競技で優勝。その後ロードレースに転向し、1989年のツール・ド・フランスでの山岳ステージ優勝を皮切りに、ロードレースでも頭角を現しました。

所属チーム
1986年：KAS
1987年：トウシバ
1988年：ウェインマン
1989〜91年：エルベシア
1992年：フェスティナ
1993年：アリオステア
1994〜96年：MG（94年GB-MG、95〜96年MG-TECHNOGYM）
1997〜98年：カジノ（Casino）
1999年：モビルベッタ（MOBILVETTA-NORTHWAVE）
2000年：リンダ・マッカートニー

一時期は低迷も経験しましたが、ジャンカルロ・フェレッティ監督率いるアリオステアへの所属を機に復活。1990年代半ばには、ミドルツールと呼ばれる10日前後のステージレースを中心に安定した成績を残し、アレックス・ツェーレやトニー・ロミンゲルらと並び、スイスを代表する選手としての地位を確立しました。

山岳レースでの活躍が目立つためクライマーとしての印象が強いリシャールですが、少人数での逃げ切りになった際のゴールスプリントも非常に得意としていました。ランス・アームストロング、ロルフ・ソレンセン、マキシミリアン・シャンドリ、イェスパー・スキッビーといったスプリント力のある選手を相手に、度々ゴール勝負で勝利を収めるという番狂わせも演じました。

プロ・アマがオープン化された最初のアトランタオリンピックでは、逃げ切りからのゴールスプリントで見事ライバルを下し、金メダルを獲得。これは彼のキャリアにおける最大のハイライトの一つと言えるでしょう。

主な成績

グランツール
ツール・ド・フランス：4勝（1989年1勝、1996年1勝）
ジロ・デ・イタリア：4勝、山岳賞（1994年1勝、山岳賞、1995年2勝、1996年1勝）

ステージレース
ツール・ド・ロマンディ：2勝（1991年2勝、1993年2勝、総合優勝、1994年総合優勝）
ツール・ド・スイス：2勝、総合優勝（1994年1勝、総合優勝、1999年1勝）
ティレーノ〜アドリアティコ：1勝（1991年）
パリ〜ニース：2勝（1994年、1995年）
ジロ・デッラ・プロヴィンチャ・ディ・レッジョ・カラブリア：総合優勝（1995年）

ワンデーレース
世界選手権シクロクロス：優勝（1988年）
アトランタオリンピック：個人ロードレース優勝（1996年）
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ：優勝（1996年）
ジロ・ディ・ロンバルディア：優勝（1993年）
スイス選手権：優勝2回（1989年、1993年）
スイス選手権シクロクロス：優勝2回（1986年、1989年）
トロフェオ・ライグエーリア：優勝（1991年）
トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ：優勝（1990年）
ジロ・デル・ラツィオ：優勝（1995年）
グロサー・プライス・デス・カントン・アールガウ：優勝（1995年）
トロフェオ・メリンダ：優勝（1995年）

パスカル・リシャールは、その多様な才能と勝利への飽くなき追求心で、ロードレース史にその名を刻んだ偉大な選手の一人です。

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