パッセリーニの聖母被昇天

『パッセリーニの聖母被昇天』（伊: Assunta Passerini）は、イタリア盛期ルネサンスの巨匠アンドレア・デル・サルトが1526年に板に油彩で描いた作品です。現在、フィレンツェのピッティ宮殿内にあるパラティーナ美術館に収蔵されています。

歴史

この作品は、コルトーナのサンタ・マリア・フオーリ・レ・ムーラ教会のマルゲリータ・パッセリーニの私的な祭壇のために、彼女自身の依頼で制作されました。1526年に契約が交わされ、絵画の価格は155フローリンと定められました。1553年、教会の僧たちはこの作品を含む財産とともにサン・タントニオ・デイ・セルヴィ教会に移転しました。

1639年には、フェルディナンド2世・デ・メディチ大公によって購入されました。大公は教会に残すための複製を制作させ、その費用を支払いました。この複製は現在、コルトーナ司教区美術館に所蔵されています。その後、アンドレア・デル・サルトによる別の作品『パンチャティキの聖母被昇天』との対作品として、本作は現在の所蔵場所であるピッティ宮殿へと移されました。

概要

アンドレア・デル・サルトは、以前に描いた『パンチャティキの聖母被昇天』をモデルにして本作を制作しました。しかし、両作品にはいくつかの相違点が見られます。例えば、本作では風景の代わりに暗い背景が用いられ、聖母マリアと周囲の天使の配置も異なっています。また、右側にひざまずいている使徒は、寄進者の保護聖人である祝福されたマルゲリータ・ダ・コルトーナに置き換えられています。さらに、左側の使徒は、寄進者の父または亡くなった息子の守護聖人である聖ニコラスに変更されています。

この作品が制作された当時、アンドレア・デル・サルトは既に結婚しており、後の伝記作家ジョルジョ・ヴァザーリが述べているように、聖母の顔はおそらく画家の妻の肖像画であると考えられています。

参考文献

Chiarini, Marco (1998). Galleria palatina e Appartamenti Reali. Livorno: Sillabe. ISBN 978-88-86392-48-8

外部リンク

フィレンツェの美術館のウェブサイトのページ(イタリア語)

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