パトリシオ・エイルウィン

パトリシオ・エイルウィン・アソーカルは、1918年11月26日に生まれ、2016年4月19日に没したチリの政治家です。彼は、チリの第31代大統領（1990年-1994年）を務めました。アイルランド系の家系で、早稲田大学から名誉法学博士の称号を授与されています。

生い立ちと教育

エイルウィンは、ビーニャ・デル・マルで、父ミゲル・エイルウィンと母ラウラ・アソカルの間に5人兄弟の長男として誕生しました。彼の父は法律家であり、後にチリ最高裁判所の長官を務めました。エイルウィン自身も法律の道に進み、チリ大学で法学を学び、弁護士資格を取得しました。その後、チリ大学とチリ・カトリック大学で行政法の教授として教鞭を執り、国立研究所では市民教育と政治経済学を教えました。

政治活動

エイルウィンの政治キャリアは、1945年にファランヘ党に参加したことから始まりました。1957年に同党がキリスト教民主党に改組されると、彼はその結成メンバーとなり、1958年から1960年まで党首を務めました。1964年には上院議員に当選し、1969年には国連総会にチリ代表として出席。1971年には上院議長に就任しましたが、1972年に辞任しました。

1970年代初頭、エイルウィンはアジェンデ政権と激しく対立し、右派連合を形成してアウグスト・ピノチェトによるクーデターを支持しました。彼は当初、軍事政権が一時的なものであり、その後キリスト教民主党を中心とする民主政権に移行すると考えていましたが、ピノチェトは政権を維持し続け、軍政は17年間も続きました。その結果、エイルウィンは軍政支持から離れ、軍政反対派の指導者として民主化運動を推進しました。

1989年、エイルウィンはピノチェトの後継を決める大統領選挙に、コンセルタシオン・デモクラシア（中道政党連合）から出馬しました。過去のピノチェトクーデター支持にも関わらず、左派勢力も軍政打倒のために彼を支持し、ピノチェト支持派が分裂した結果、エイルウィンは選挙で大差をつけて勝利しました。大統領就任後、彼は真実和解委員会を設置し、軍事政権下での人権侵害事件の真相究明に取り組みました。

しかし、ピノチェトは依然として陸軍総司令官の地位を維持し、軍部を支配し続けたため、軍の責任追及を妨害しました。さらに、与党の国会議席数が足りず、ピノチェトが制定した憲法を改正することができませんでした。

著作

エイルウィンは、以下の著作を発表しています。

『Youth Voter Participation: Involving Today's Young in Tomorrow's Democracy』（International IDEA；1999/12）
『太平洋の旭日』（共著・池田大作；河出書房新社； 1997/10）

外部リンク

Official Biography (スペイン語)
早稲田大学名誉博士学位贈呈者一覧
* 1993年の韓国訪問

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