パトリック・モラーツ

パトリック・モラーツ：プログレッシブ・ロック界の異才

パトリック・フィリップ・モラーツ（Patrick Philippe Moraz、1948年6月24日 - ）は、スイス出身のキーボーディストです。幼少期から音楽の才能を開花させ、ヴァイオリンとピアノを学びました。1971年にイギリスへ渡り、プロとしてのキャリアをスタートさせます。

初期の活動：メインホースとレフュジー

モラーツは1971年に「メインホース」を結成し、アルバムデビューを果たしました。その後、元ザ・ナイスのメンバーであったリー・ジャクソンとブライアン・デヴィソンと共に「レフュジー」を結成。1974年にはデビューアルバムを発表し、高い評価を得ましたが、同年、イエスへの加入のため、レフュジーを脱退します。

イエスへの加入と脱退

1974年、リック・ウェイクマンの後任としてイエスに加入し、アルバム『リレイヤー』の制作に参加。しかし、1976年にはソロ活動に専念するためイエスを脱退しました。イエス在籍期間は短かったものの、『リレイヤー』における彼の音楽性は、バンドのサウンドに大きな影響を与えました。特に、「錯乱の扉」における具体音やシンセサイザーを駆使した効果音、ローズ・ピアノを用いたジャズロック的なアプローチは、それまでのイエスには見られなかったものでした。

ソロ活動と多岐にわたる活動

イエス脱退後は、ソロアーティストとして活動する傍ら、ビル・ブルーフォードとのコラボレーションや、ムーディー・ブルースへの参加など、幅広い音楽活動を展開しました。彼の音楽性は、プログレッシブ・ロックに留まらず、ジャズやクラシックなど、様々なジャンルの要素を取り入れています。

音楽的影響とプレイスタイル

モラーツは、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンといったクラシック音楽の作曲家から、チャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンなどのジャズミュージシャン、さらにはジミ・ヘンドリックスやフランク・ザッパといったロックミュージシャンからも影響を受けました。彼の演奏スタイルは、シンセサイザーを多段に積み重ね、多数のキーボードを駆使するマルチ・キーボードスタイルで知られています。また、新しい技術の導入にも積極的であり、マッキントッシュで構成されたアルバムをリリースするなど、常に革新的な音楽制作に挑戦しています。

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

『ストーリー・オブ・アイ』 - The Story of I (1976年)
『アウト・イン・ザ・サン』 - Out in the Sun (1977年)
『3』 - Patrick Moraz (1978年)
『コエキシステンス』 - Coexistence (1980年)
Time Code (1984年)
Future Memories II (1984年)
Future Memories I & II (1985年)
『ヒューマン・インターフェイス』 - Human Interface (1987年)
Windows of Time (1994年)
Resonance (2000年)
ESP (2003年)
Change of Space (2009年)

ビル・ブルーフォードとの共演

『ミュージック・フォー・ピアノ・アンド・ドラムス』 - Music for Piano and Drums (1983年)
『フラッグス』 - Flags (1985年)

関連バンド

メインホース
レフュジー
イエス
ムーディー・ブルース

パトリック・モラーツは、常に新しい音楽の可能性を追求し、プログレッシブ・ロックの発展に大きく貢献したキーボーディストです。彼の音楽は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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