パノティア大陸

パノティア大陸とは

パノティア大陸は、約6億年前、新原生代のクライオジェニアン期からエディアカラン期にかけて存在した超大陸です。約5億3000万年前に分裂し、イアペトゥス海が形成されました。この大陸は、ほとんどのクラトンが南半球に集まってできたため、ギリシャ語の「全て」を意味する「pan-」と、「南の」を意味する「-nótos」を組み合わせて名付けられました。

パノティア大陸提唱の歴史

1976年、Piperがパンゲア大陸以前の原生代に超大陸が存在した可能性を示唆しました。これは後のロディニア大陸に相当するものです。その後、1981年にMcWilliamsが古地磁気データからパンゲアとは異なる超大陸の存在を指摘し、1984年にはBond、Nickeson、Kominzが、その大陸が6億2500万年前から5億5000万年前に分裂したと発表しました。1995年、Powelによってこの大陸は「パノティア」と名付けられました。一方、Youngは、より古い時代のロディニア大陸に相当する大陸を「カナティア」と命名し、パノティアに相当する超大陸を「ロディニア大陸」と呼ぶことを提唱したため、Powelが反論しました。

大陸の形成

パノティア大陸は、ロディニア大陸の反対側で形成されました。約7億5000万年前にコンゴクラトンがロディニア大陸に衝突し、その造山運動は6億4000万年前から6億1000万年前まで続きましたが、カンブリア紀前期の5億3000万年前まで継続した可能性もあります。

ロディニア大陸の形成時に、アフリカ、南アメリカ、アラビア、インド、マダガスカル、南極、オーストラリアのクラトンが結合し、「元ゴンドワナ大陸」が形成されました。一方、ロディニア大陸の中心だったローレンシアクラトンは、バルティカ、シベリアクラトンと共に、「元ゴンドワナ大陸」と対峙する位置で合体していました。後にこれらのクラトンがゴンドワナ大陸から分離し、さらに分裂してイアペトゥス海が生まれました。

南半球で形成されたパノティア大陸ですが、後の中国大陸や中央・東南アジアを形成するテレーンは、「元ゴンドワナ大陸」の東側の北半球に存在しました。「元ゴンドワナ大陸」の西側では、後に西ヨーロッパ、ブリテン島、アメリカ西海岸からフロリダ半島となる地域が付加体として形成されました。この付加体の形成は、バルテイカ大陸北部まで及んでいた可能性があります。

パノティア大陸形成の痕跡は、クラトンの衝突による造山運動によって見つけることができます。例えば、現在の西アフリカにあるサハラ帯は、12億年前から7億年前に誕生したトゥアレグ楯状地とサハラメタクラトンの衝突によって生じました。また、ブラジルで見つかる6億年前から5億年前の変成岩は、アマゾニアクラトンと西アフリカクラトン、サンフランシスコ-コンゴ-カサイクラトンの衝突によって形成されました。これらの変成岩は、9億5000万年前から8億5000万年前に生じた苦鉄質岩と、若い弧状列島由来の岩石で構成されています。

大陸の分裂と影響

パノティア大陸の分裂は、全球凍結からの脱出に伴う急速な海面上昇によって始まりました。この分裂は、大陸が形成、離散する過程で起こり、結果として生物が生息するのに適した浅い海が拡大しました。この環境変化が、エディアカラ動物群の誕生や、その後のカンブリア爆発を引き起こしたと考えられています。

まとめ

パノティア大陸は、地球の歴史において重要な役割を果たした超大陸です。その形成と分裂は、地球の地質学的変動や生物の進化に大きな影響を与えました。この大陸の研究は、地球の過去を理解し、未来を予測するための重要な手がかりとなります。

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