パピヨン (バレエ)

バレエ『パピヨン』：蝶が舞う恋の物語

『パピヨン』（Le Papillon）は、19世紀に生まれたバレエ作品で、現在でもその一部が愛されています。ここでは、その魅力と歴史を紐解きます。

作品概要

初演： 1860年
形式： 全2幕4場
振付： マリー・タリオーニ（ロマンティック・バレエを代表する名バレリーナ）
音楽： ジャック・オッフェンバック
台本： ヴェルノワ･ド･サン･ジョルジュ

現在では、全幕上演される機会は少ないものの、劇中のパ・ド・ドゥはバレエ・コンサートなどでよく上演され、親しまれています。

初演と悲劇

1860年11月26日、パリ・オペラ座で初演を迎えました。主役ファルファラを演じたのは、タリオーニの指導を受けていたエマ・リヴリー。王子ディアルマはルイ・メラント、老妖精アムザはルイーズ・マルケが演じました。初演は42回上演されました。

しかし、ファルファラを演じたリヴリーは、1862年に舞台衣装にガス灯の火が燃え移るという痛ましい事故に遭遇。翌年、20歳という若さで亡くなりました。彼女の早すぎる死は、バレエ史における悲劇として語り継がれています。

再演

『パピヨン』は、その後も時代を超えて再演されています。

1874年： マリウス・プティパがサンクトペテルブルクで改訂再演。音楽はレオン・ミンクスが編曲し、4幕仕立てとなりました。ファルファラ役はエカテリーナ･ヴァゼム、王子ディアルマはレフ･イワノフが演じました。
1976年： ピエール･ラコットがパリ･オペラ座で蘇演を手がけました。

あらすじ

物語は、美しい娘ファルファラと王子ディアルマを中心に展開します。

幼い頃に老いた妖精アムザに連れ去られ、侍女として仕えていたファルファラ。ある日、アムザは若く美しい王子ディアルマに恋をしますが、王子はファルファラに惹かれます。嫉妬に狂ったアムザは、魔法を使ってファルファラを蝶に変えてしまいます。

蝶に変えられたファルファラは、松明の炎に身を投じます。すると、呪いが解け、元の姿に戻ります。一方、アムザは報いを受け、石像へと姿を変えられてしまいます。ファルファラと王子は再び結ばれ、物語はハッピーエンドを迎えます。

音楽

オッフェンバックの音楽は、軽快で美しい旋律に満ちており、バレエのロマンティックな雰囲気を引き立てています。リチャード・ボニングによるオッフェンバックのオリジナルスコアに基づいた録音も存在します。

参考文献

小倉重夫編『バレエ音楽百科』（音楽之友社）

外部リンク

* パピヨンの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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