パブロ・イグレシアス (1978年生)

パブロ・イグレシアス・トゥリオン：スペインの政治を動かした異才

パブロ・イグレシアス・トゥリオン（Pablo Iglesias Turrión）は、1978年10月17日、スペインのマドリードで生まれました。彼は、2014年から2021年までポデモス党の党首を務め、スペインの政治に大きな影響を与えた人物です。

多様な顔を持つ政治家

イグレシアスは、政治家としての顔だけでなく、著作家、マドリード・コンプルテンセ大学の政治学講師、そしてテレビの政治討論番組司会者としても活動していました。2014年5月には、ポデモスから欧州議会議員選挙に当選し、欧州議会議員となります。同年11月には、ポデモス党首に就任し、政治家としてのキャリアを本格的にスタートさせました。

現在でも、テレビ番組「ラ・トゥエルカ」や「フォルト・アパチェ」の司会を務める傍ら、政治討論番組にも頻繁に出演し、活発な言論活動を展開しています。

学術的な背景

イグレシアスは、学術的な分野でも豊富な知識と経験を持っています。2001年にコンプルテンセ大学で法学の学位を取得し、2004年には政治学の学位を優等で取得しました。2008年には、「ポストナショナル・コレクティブ・アクション」というテーマで政治学の博士号(PhD)を取得しています。さらに、政治学のMASと教員免許も傑出した成績で取得しています。2010年には、マドリードのカルロス3世大学で、映画の政治的分析というテーマで人文科学の修士号を取得。スイスのEGSでは、政治理論、映画、精神分析を学び、2011年には情報科学の修士号を取得しました。その後、コンプルテンセ大学で政治学の主任講師を務め、2014年9月には同大学の名誉教員となりました。

メディアでの活躍

イグレシアスは、メディアでも多様な活動を展開しています。イスパンTVの政治討論番組「Fort Apache」や、プブリコTVの「La Tuerka」で司会を務め、コン・マノ・イスキエルダという制作会社で放送ディレクターを務めていました。また、2002年以降には、学術雑誌に30本以上の論文を発表しています。

政治的なスタンス

イグレシアスは、自身を左翼の立場に置いており、過去にはスペイン共産党(PCE)の党員であり、反グローバリゼーション運動にも参加していました。2014年1月には、数か月後の欧州議会議員選挙への参加を見据え、ポデモス運動の主体者のひとりとなります。そして、4月3日の公開予備選挙で、ポデモスの選挙名簿筆頭に選ばれました。ポデモスは欧州議会議員選挙で5議席を獲得し、国民党(PP)、社会労働党(PSOE)に次ぐ第4党となり、イグレシアス自身も欧州議会議員に当選しました。

メディアへの寄稿

イグレシアスは、プブリコ、Kaosenlared、ディアゴナル、レベリオンなどのメディアに記事を寄稿しています。2013年10月には、メディア活動による社会変革の功績が認められ、カルロス3世大学のジャーナリズム・視聴覚情報学科からエンフォカドス賞を授与されました。

多様なテレビ出演

2003年には、「テレK」によるテレビ番組「ラ・トゥエルカ」の司会に就任しました。2012年11月には、テレビ番組「ラ・セクスタ・コルムナ」のコーナー「ラホイの1年」にアナリストとして出演し、2011年に与党の座に就いた国民党のマリアーノ・ラホイ政権の1年を分析しました。2013年5月には、「インテレコノミア」が放送するテレビ番組「El Gato al Agua」にゲストとして招かれ、2012年9月25日にマドリードで起こったデモ「Rodea el Congreso」について発言しました。これ以後、他のメディアからも出演依頼を受けるようになり、「エル・ガト・アル・アグア」、「エル・カスカベル・アル・ガト」、「ラ・セクスタ・ノチェ」、「ラス・マニャーナス・デ・クアトロ」、「24h ノチェ」などの討論番組で人気のゲストとなりました。

家族と名前の由来

イグレシアスの祖父であるマヌエル・イグレシアスは、フランコ体制下のスペインで死刑宣告を受けましたが、彼に対する告発の不正が証明されたため、死刑は執行されませんでした。母親のルイサ・トゥリオンは、スペイン労働者委員会(CC.OO.)の顧問弁護士であり、父親のハビエル・イグレシアスは元歴史学教授で労働監督官です。イグレシアスによれば、父親はマルクス・レーニン主義・反フランコ主義の過激革命組織FRAPのメンバーだったとのことです。彼の名前は、社会労働党(PSOE)を創設した社会主義者のパブロ・イグレシアスに由来しています。

パブロ・イグレシアス・トゥリオンは、その多才な才能と政治的な手腕で、スペイン社会に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。

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