パブロ・ラライン

パブロ・ララインとは

パブロ・ララインは、1976年にチリのサンティアゴで生まれた映画監督、脚本家、プロデューサーです。独立民主連合の上院議員として活動した父エルナン・ララインと、住宅・都市大臣を務めた母マグダレーナ・マッテのもとに育ちました。彼はサンティアゴにあるチリ芸術科学情報通信大学で視聴覚コミュニケーションを学び、映画制作への道を歩み始めました。

映画制作のキャリア

ララインは、映画製作や広告事業を手掛ける「ファブラ社」の共同創設者としても知られています。彼のキャリアは2005年の長編映画『Fuga』からスタートし、この作品は国内外の映画祭で受賞し、彼の名声を確立しました。

2作目の『トニー・マネロ』も国際的に成功を収め、2008年には最優秀チリ映画賞を受賞しました。日本では2008年の第5回スペイン・ラテンアメリカ映画祭や2013年の第10回ラテンビート映画祭で上映され、観客から高い評価を受けました。

ララインの代表作の一つ、2012年の『NO』では、1988年のチリの国民投票を題材にしています。この映画は、アウグスト・ピノチェト独裁政権に対する広告キャンペーンを描き、主演のガエル・ガルシア・ベルナルがピノチェト反対派の広告マンを演じました。この作品はカンヌ国際映画祭で上映され、アートシネマ賞を受賞し、第85回アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされました。

テレビドラマやアメリカ進出

2011年から2013年には、HBOラテンアメリカ制作のドラマ『Prófugos』の共同監督を務め、多彩な才能を発揮しました。また、2014年には『スカーフェイス』のリメイク交渉を行い、現代のロサンゼルスを舞台にした物語を構想しています。

彼の映画『ザ・クラブ』は、ベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞し、国内外での評価が高まりました。続く2016年の『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』はナタリー・ポートマンが主演し、アカデミー賞で3部門にノミネートされました。

彼の母国チリの映画『ナチュラルウーマン』は、2018年にアカデミー賞で外国語映画賞を受賞し、チリ代表としての歴史的一歩を記しました。

政治思想と家族背景

ララインの家族は右派でありながら、彼自身はピノチェト政権に対する強い反対者です。独裁体制下での政治的抑圧や文化の衰退について言及し、芸術の重要性を強調しています。

私生活では、2006年に女優アントニア・セヘルスと結婚し、2人の子どもを持つ父親でもあります。彼の作品には個人の視点や社会へのメッセージが強く表れています。

まとめ

パブロ・ララインは、政治的背景を持ちながら、強い社会的メッセージを持つ作品を通じて、国際的な舞台で成功を収めてきた数少ない映画監督の一人です。彼の作品は芸術と社会問題を結びつけ、観客に深い考察を促すものとなっています。

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