パホンヨーティン通り

パホンヨーティン通り

パホンヨーティン通り（タイ語: ถนนพหลโยธิน）は、タイ王国を代表する主要な道路の一つであり、同国の国道1号線に指定されています。この道路は、タイの首都バンコクにある戦勝記念塔を起点とし、国土を北上して遥かミャンマーとの国境に位置するメーサイの街まで続いています。総延長は約1,005キロメートルにも及び、タイ北部への重要な交通動脈としての役割を担っています。

路線概要

パホンヨーティン通りは、バンコクを出発した後、北へ向かいます。その道程では、歴史的な古都アユタヤをはじめ、サラブリー、ロッブリー、ナコーンサワン、カンペーンペット、ターク、ランパーン、そして北部の大都市チェンラーイといった主要な都市を通過します。最終的には、タイ最北端の地域であるメーサイに到達し、そこでミャンマー国境に接続しています。この広範なルートは、タイ中央部から北部にかけての多くの地域を結びつけ、人流および物流の基盤となっています。

歴史的背景

現在のパホンヨーティン通りは、当初からこのような長距離幹線であったわけではありません。その起源は、バンコクの北郊外にあるドンムアンまでを結ぶ、わずか22キロメートルほどの道路でした。当時の名称は「プラチャーティパタイ通り」、すなわち「民主通り」と呼ばれていました。

1938年、当時の首相プレーク・ピブーンソンクラームの主導により、この道路の大規模な延伸・改修プロジェクトが実施されました。この工事によって、道路はアユタヤ、サラブリー、ロッブリー、さらにシンブリーまで、約162キロメートルもの長さに延長されました。そして、タイ王国第2代首相であり、ピブーン政権成立に貢献したプラヤー・パホンポンパユハセーナー（本名ティン・パホンヨーティン）の功績を称えるため、彼の名にちなんで「パホンヨーティン通り」と命名されたのです。

バンコク都心部における特徴

パホンヨーティン通りは、起点であるバンコクの戦勝記念塔から北へ進むにつれて、バンコク・スカイトレイン（BTS）のスクムウィット線としばらく並行して走ります。この区間は、都市交通の重要な結節点となっています。沿線には、広大なチャトチャック公園があり、その近くにはバンコク・メトロ（MRT）のチャトゥチャック公園駅やパホンヨーティン駅、そしてBTSのモーチット駅といった主要な駅が位置しています。また、タイの国内線の主要拠点であるドンムアン空港の裏側も通過します。BTSとの並行区間は比較的長く、北部のイェークコーポーオー駅近辺まで続いており、都市内の移動においても重要な経路となっています。

公共交通機関との接続

パホンヨーティン通り沿線、特にバンコク都心部とその近郊では、複数の公共交通機関との乗り換えが可能です。

バンコク・メトロ（MRT）：パホンヨーティン駅、チャトゥチャック公園駅などが接続しています。
バンコク・スカイトレイン（BTS）スクムウィット線：戦勝記念塔近くのアヌサーワリーチャイサモーラプーム駅から始まり、イェークコーポーオー駅近辺に至るまで、多くの駅がパホンヨーティン通りに沿って設置されています。

沿線の主要施設

この道路の起点には、バンコクの象徴の一つである戦勝記念塔が建っています。また、バンコク市民の憩いの場として知られるチャトチャック公園も、パホンヨーティン通りのすぐ近くに位置しています。

国際的な位置づけ

パホンヨーティン通りは、その長大な路線網がアジア各国の主要都市を結ぶ「アジアハイウェイ」のネットワークの一部としても機能しており、国際的な道路網においても重要な位置を占めています。

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