パラダイス・カフェ

中島みゆき 『パラダイス・カフェ』 (1996) 解説

『パラダイス・カフェ』は、1996年10月18日に発表された中島みゆきの24枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムは、中島の音楽キャリアの中でも特に制作過程にこだわりが見られる作品として知られています。

制作背景とレコーディング

アルバムの制作は、東京とロサンゼルスの2都市で行われました。各都市で現地のスタジオミュージシャンを起用し、1曲ごとに2回ずつレコーディングを実施。中島みゆき自身が納得のいくテイクを選び抜くという、非常に手の込んだプロセスが採用されました。最終的に、収録曲の多くはロサンゼルスでレコーディングされたテイクが採用されています。また、楽曲のライブ感を重視し、ヴォーカルとバンド演奏を同時に録音するという手法も取り入れられました。

プロモーション

アルバムの発売を記念して、渋谷パルコではイベント『miss M.のパラダイス・カフェ』が開催されました。このイベントでは、アルバム収録曲それぞれをイメージした11種類のオリジナルカクテルが提供され、訪れたファンを楽しませました。カクテルの名前は、各楽曲のタイトルが用いられました。

リリースと記録

『パラダイス・カフェ』は、1996年10月18日にポニーキャニオンからCDとAPOの2形態でリリースされました。2001年には、ヤマハミュージックコミュニケーションズから現行盤CDが発売されています。

オリコンアルバムチャートでは最高7位を記録し、1977年リリースの3rdアルバム『あ・り・が・と・う』から本作まで、中島みゆきのオリジナルアルバムが22作連続でオリコンチャートTOP10入りを達成しました。

収録曲について

アルバムには、以下のような楽曲が収録されています。

1. 旅人のうた〈2nd Version〉
日本テレビ系ドラマ『家なき子2』主題歌のアルバムバージョン。シングルバージョンとはテンポや歌唱、歌詞の一部が異なっています。
2. 伝説
映画『四十七人の刺客』のために作られたものの、採用されずお蔵入りとなっていた楽曲。後に映画『愛する』のイメージソングとして使用されました。
3. 永遠の嘘をついてくれ
吉田拓郎に提供した楽曲のセルフカバー。吉田拓郎のアルバム『Long time no see』にオリジナルバージョンが収録されています。中島みゆきは、吉田拓郎から「遺書のような曲を」と依頼され、それに応える形でこの曲を制作しました。
4. ALONE, PLEASE
5. それは愛ではない
6. なつかない猫
楽曲中で中島みゆきが猫の鳴き声を真似るユニークな箇所があります。
7. SINGLES BAR
8. 蒼い時代
9. たかが愛
テレビ朝日系ドラマ『はみだし刑事情熱系』第1シリーズの主題歌。アルバムリリース後にシングルカットされました。
10. 阿檀の木の下で
太平洋戦争末期から日本返還前の沖縄を擬人化したような楽曲。中島みゆきは、沖縄を外から見るのではなく自分のこととして考えなければ歌えない、という思いがあったと語っています。
11. パラダイス・カフェ

演奏者

Vocals: 中島みゆき

『パラダイス・カフェ』は、中島みゆきの音楽的な探求心と、時代に対する深い洞察が込められた、聴きごたえのある作品です。

参考情報

中島みゆき オフィシャルサイトによる紹介ページ
* パラダイス・カフェ

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