パラパラマンガ

パラパラマンガとは

パラパラマンガは、複数の連続した絵をまとめた束の端を素早くめくることで、残像効果によって絵が動いているように見える視覚効果を利用した漫画の一種です。アニメーションの基本的な手法の一つであり、パラパラアニメやフリップブックとも呼ばれています。

制作手法と種類

紙を重ねて作るパラパラマンガでは、通常、一番下のページから始まり、上に重なるにつれて時系列的に後の絵が描かれています。薄い紙を使用する場合には、下の絵が透けて見えるため、それを参考にしながら、動きの変化を考慮して次の絵を描くことができます。

写真の印画紙でも同様に「動く絵」を再現可能です。少しずつ変化させた複数の写真を重ねて素早くめくることで、動画のように見せることができます。この技法は、ストップモーション・アニメーションやコマ撮り撮影といった映像制作技術にも応用されています。

歴史

単純なパラパラマンガの原理は、19世紀前半に発明されたフェナキストスコープや回転のぞき絵（ゾエトロープ）のような初期のアニメーション装置よりも前から存在していたと考えられていますが、決定的な証拠は見つかっていません。

最も古いとされているパラパラマンガは、1868年9月にイギリスの発明家ジョン・バーンズ・リネットが「kineograph」（動く絵）という名称で特許を取得した際に登場しました。これは、フェナキストスコープのような円形ではなく、直線的な連続画像を用いた最初のアニメーション形式でした。その後、1894年には、ドイツ映画の先駆者であるマックス・スクラダノフスキーが連続写真をパラパラマンガ形式で公開しました。また、アメリカの発明家ハーマン・カスラーは同じ年に、パラパラマンガを機械化した装置「ミュートスコープ」を発明しました。このミュートスコープは、遊園地のアトラクションとして人気を博し、20世紀半ばまで楽しまれました。

文化

2004年には、初の国際的なフリップブックイベントがドイツのシュトゥットガルトで開催されました。パラパラマンガは、個人の趣味から芸術作品、商業的なアニメーションまで、幅広い分野で活用されています。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのロゴでは、2007年以降、ミッキーマウスがパラパラマンガのように動く演出が採用されています。これは、パラパラマンガの歴史とアニメーションのルーツを象徴する例と言えるでしょう。

2010年11月には、イスラエルの組織であるIsrael Philatelic Federationが、パラパラマンガ形式で絵が描かれた15枚の切手を収録した切手帳を発売しました。これは、国際アニメーション映画協会（ASIFA）の設立50周年、ASIFAイスラエル支部の設立25周年、そして「フリップブック250周年」を記念したものでした。

パラパラマンガは、古くからあるアニメーションの形態ですが、現代においても様々な形で楽しまれ、アニメーションの歴史を語る上で欠かせない存在です。

関連事項

ソーマトロープ: 両面に絵が描かれた円盤やカードを高速で回転させると、両面の絵が重なって見えるという、ヴィクトリア朝時代の玩具です。
フェナキストスコープ: 円盤に描かれた絵を鏡に映しながら回転させ、円盤のスリットを通して覗くと、絵が動いているように見える装置です。
回転のぞき絵（ゾエトロープ）: 回転する円筒のスリットから内部の絵を見ると、絵が動いて見える装置です。
プラキシノスコープ: 回転のぞき絵を改良した、より高度なアニメーション装置です。
ParaFla!: パラパラマンガをデジタルで作成できるソフトウェアです。
うごくメモ帳: ニンテンドーDSiウェアで、パラパラマンガの要領で動きのあるイラストを描くことができます。
* 鉄拳 (お笑い芸人): パラパラマンガ作家としても活躍しており、その作品は多くの人々に感動を与えています。

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