パラミタミュージアム

パラミタミュージアム：珠玉のコレクションと自然の調和が織りなす空間

三重県三重郡菰野町に位置するパラミタミュージアムは、2003年3月15日に開館した私立美術館です。同町で唯一の美術館として、国内外から多くの美術愛好家を惹きつけています。

この美術館の最大の魅力は、その充実したコレクションです。特に、池田満寿夫の代表作である陶彫「般若心経シリーズ」全1299点は圧巻の一言。創設者である小嶋千鶴子氏が、池田氏の遺族から全作品を購入するという並々ならぬ情熱によって実現したものです。このシリーズは、美術館の1階4室のうち3室を贅沢に使用し、じっくりと鑑賞することができます。

「般若心経シリーズ」以外にも、小嶋千鶴子氏の夫であり洋画家である小嶋三郎一氏の油彩画500点の中から厳選された秀作が展示されています。さらに、江戸時代中期から昭和時代までの萬古焼コレクション約1000点も所蔵。創始者とされる沼波弄山の作品や、明治時代の輸出用急須など、萬古焼の歴史を辿ることができる貴重な資料も含まれています。

美術館の2階には、企画展を開催する特別展示室と、萬古焼コレクションを展示する部屋があります。企画展では、現代陶芸から伝統工芸、近現代の絵画など、バラエティに富んだ展示が開催され、来館者に多様な芸術体験を提供しています。

パラミタミュージアムのもう一つの魅力は、その美しい庭園「パラミタガーデン」です。美術館建設以前から存在した森を活かし、100種類以上の樹木と200種類以上の山野草が四季折々の美しい景色を織りなしています。庭園内には、山口牧生氏の彫刻作品も点在し、自然と芸術の融合を感じさせてくれます。

館内では、写真撮影も自由で、小嶋千鶴子氏が収集した美術関連書籍を閲覧できるコーナーも設けられています。また、コンサートなども開催され、地域文化の拠点としての役割も担っています。

パラミタミュージアムの設立は、小嶋千鶴子氏の美術品収集への情熱から始まりました。20歳頃から美術品収集を始めた彼女は、60歳でジャスコ（イオンの前身）取締役を退任後、長年かけて集めたコレクションを一般に公開したいと願っていました。その思いが実現した結果が、この美術館なのです。

特に、池田満寿夫の「般若心経シリーズ」の入手は、美術館設立の大きなきっかけとなりました。この作品への深い愛情から、所有者である佐藤陽子氏と1年以上交渉を重ね、最終的には「これらの作品を展示できる美術館を必ず建てる」という約束によって、作品を譲り受けることができました。

2005年には、パラミタミュージアムを岡田文化財団に寄付し、現在では同財団が運営しています。2006年には、現代陶芸の新たな潮流を見出すため「パラミタ陶芸大賞展」を創設。全国の芸術家から推薦された作品を、来館者の投票によって大賞作品を決めるユニークな試みは、現在も毎年開催され、好評を博しています。

パラミタミュージアムは、単なる美術館にとどまらず、創設者小嶋千鶴子氏の情熱と、岡田文化財団の支援、そして地域社会との連携によって、多彩な文化活動を展開する活気ある施設です。美しい自然と、貴重な美術コレクション、そして活気あふれる企画展の数々。三重県を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

アクセス:
近鉄湯の山線 大羽根園駅より徒歩約5分

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