近鉄湯の山線

湯の山線：鈴鹿山麓の観光と生活を支える路線

湯の山線は、三重県四日市市の近鉄四日市駅から三重郡菰野町の湯の山温泉駅までを結ぶ、近畿日本鉄道（近鉄）の鉄道路線です。鈴鹿山脈の麓に位置する湯の山温泉や、人気の観光地である御在所山へのアクセス路線として知られていますが、その役割はそれだけにとどまりません。比較的住宅地の密集した地域を通過し、近鉄グループや三重交通グループが開発した大規模な住宅団地や、県立高校などの教育機関も沿線に位置しているため、地域住民の通勤・通学にも欠かせない生活路線としての役割も担っています。

運行形態と歴史

現在は、近鉄四日市駅と湯の山温泉駅間のワンマン運転の普通列車が中心です。朝夕は15～20分間隔、昼間は30分間隔で運行されています。かつては、近鉄名古屋駅や大阪難波駅からの特急列車「湯の山特急」も運行されていましたが、2004年3月のダイヤ改正で廃止されました。しかし、現在でも湯の山温泉駅には特急券の発行設備が残っているほか、夏季には近鉄名古屋駅～湯の山温泉駅間を結ぶ臨時特急列車「湯の山温泉サマーライナー」が運行され、地域住民や観光客に親しまれています。また、近年は元旦の早朝に「初日の出号」として臨時列車が運行されることもあります。

1913年、四日市鉄道によって軽便鉄道として開業した湯の山線は、その後、三重鉄道、三重交通を経て、1965年に近畿日本鉄道の路線となりました。開業当初はナローゲージでしたが、1964年には標準軌に改軌され、電圧も昇圧されました。同時に近鉄名古屋線との直通運転を開始し、路線の近代化が進みました。この過程で、線路の経路変更や駅名の改称、駅の新設・廃止などが行われました。

路線データと設備

湯の山線の路線距離は15.4km、全線単線で直流1500Vの電化区間です。駅数は10駅（起終点駅を含む）で、近鉄四日市駅、桜駅、湯の山温泉駅を除く全ての駅は無人の簡易改札機が設置された駅です。2007年からはPiTaPaやICOCAなどのICカード乗車券が利用可能となり、利便性が向上しました。また、かつて特急列車が運行されていたため、一部の駅は一線スルーに対応しており、高角駅～桜駅間では特急の続行運転が可能なよう駅間が分割されています。全線で自動閉塞式が採用され、最高速度は80km/hです。ワンマン運転の列車では、全てのドアが開きますが、中菰野駅と大羽根園駅では簡易改札機対応のため、乗車券利用の場合は一番前のドアからのみ下車できます。

使用車両

現在、湯の山線では鈴鹿線と共通で運用される1010系、2000系、2444系のワンマン改造車両が主に使用されています。3両編成まで対応可能です。ダイヤの乱れなどで車両のやりくりができない場合は、ワンマン非対応の車両が使用され、車掌が乗務します。夏季の臨時特急には、12200系、22000系、22600系などの特急車両が使用されることがあります。湯の山温泉駅のホーム有効長は3両分のため、4両編成以上の車両は入線できません。過去には、1000系、1480系、2050系、2470系、2680系、2800系などの一般車両や、10100系、11400系、12000系、12400系、12410系、12600系、30000系などの特急車両が使用されていました。

駅一覧

湯の山線には、近鉄四日市駅、伊勢川島駅、高角駅、桜駅、菰野駅、中菰野駅、大羽根園駅、湯の山温泉駅があります。近鉄四日市駅、桜駅、湯の山温泉駅以外は無人駅です。かつては、堀木駅、製絨所前駅、小生駅、神森駅、宿野駅などが存在していましたが、現在では廃止されています。

まとめ

湯の山線は、観光と生活を両立させる重要な路線です。歴史的背景や運行形態、車両、そして沿線の発展と密接に関わってきた歴史を理解することで、この路線の持つ魅力をより深く知ることができます。今後も地域社会に貢献する役割を果たしていくことでしょう。

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