パランティア・テクノロジーズ

パランティア・テクノロジーズ：ビッグデータ分析の最前線

パランティア・テクノロジーズ（Palantir Technologies Inc.）は、ビッグデータ分析のためのソフトウェアプラットフォームを提供するアメリカの公開企業です。2003年にピーター・ティールらによって設立され、コロラド州デンバーに本社を構えています。社名は、J.R.R.トールキンの小説『指輪物語』に登場する魔法の水晶玉「パランティア」に由来し、遠隔地を監視し、情報を把握する能力を象徴しています。

設立と初期

2003年5月、PayPalの共同創業者であるピーター・ティールは、パランティアを設立しました。ティールは、この会社を「ミッション志向の企業」と捉え、テロ対策と市民の自由の保護を両立させることを目指しました。2004年には、PayPalのエンジニアであるネイサン・ゲティングス、スタンフォード大学の学生ジョー・ロンズデール、スティーブン・コーエンがプロトタイプ開発に協力しました。アレックス・カープが最高経営責任者（CEO）に就任しました。

初期の資金調達は難航しましたが、CIAのベンチャーキャピタル部門であるIn-Q-Telからの200万ドルと、ティール自身の投資によって支えられました。パランティアは、In-Q-Telが促進するパイロットプロジェクトを通じて、情報機関のコンピューター科学者やアナリストによってその技術を開発しました。同社は、AI単独では敵を倒すことはできないとし、人間のアナリストが多様なデータを探索するアプローチを重視しました。

成長と拡大

2009年、情報戦監視団は、パランティアのソフトウェアが中国を拠点とするサイバー脅威「GhostNet」と「Shadow Network」の存在を明らかにしたと発表しました。これらのネットワークは、世界中のコンピュータを標的にしたスパイ活動に関与していました。

2010年、パランティアはトムソン・ロイターとの提携を発表し、Palantir Metropolisを「QA Studio」として販売しました。また、ジョー・バイデン副大統領は、パランティアのソフトウェアが景気刺激策における不正対策に貢献したと発表しました。

2013年、パランティアの顧客には、CIA、DHS、NSA、FBIなど、少なくとも12の米国政府機関が含まれていました。2014年、同社の評価額は90億ドルに達し、シリコンバレーで最も価値のある非公開テクノロジー企業の1つとなりました。2020年9月30日には、ニューヨーク証券取引所に直接株式公開を果たしました。

主要な製品とサービス

パランティアは、主に以下の3つの主要なプロジェクトを提供しています。

Palantir Gotham: 軍隊やテロ対策アナリスト向けのインテリジェンスおよび防衛ツール。米国インテリジェンス・コミュニティ（USIC）や米国国防総省などで使用されています。予測的ポリシングシステムとしても利用されていますが、人種差別に関する議論も生じています。
Palantir Foundry: 企業向けのデータ統合および分析プラットフォーム。モルガン・スタンレー、メルク、エアバスなどの企業が利用しています。データの統合と分析を効率化し、ビジネスインサイトの取得を支援します。
Palantir Apollo: すべての環境で継続的インテグレーション/継続的デリバリー（CI/CD）を促進するプラットフォーム。GothamとFoundryを管理および展開するためのシステムです。

パートナーシップ

パランティアは、多くの企業と提携しています。

IBM: IBMのハイブリッド・クラウド・データ・プラットフォームと連携し、AI統合アプリケーションの構築と展開を支援します。
Amazon (AWS): パランティアのERP SuiteがAWS上で最適化され、BP社などで使用されています。
Microsoft: MicrosoftのAzureガバメントクラウド上に製品を展開するパートナーシップを結んでいます。
Google: Google Cloudとの提携も発表しています。

日本法人：パランティア・ジャパン

2019年11月、パランティアはSOMPOホールディングスとの共同で、日本法人「Palantir Technologies Japan株式会社」を設立しました。SOMPOホールディングスは、Palantirのソフトウェア「Foundry」を活用したリアルデータプラットフォームの立ち上げに合意し、パランティアに出資を行いました。2023年には、損保ジャパンを含むグループ会社との業務を拡大することで合意しました。

また、富士通とも戦略的協業を結び、Palantirのソフトウェアプラットフォームを活用したソリューションを提供しています。

神奈川県では、Palantir Foundryが新型コロナウイルス感染症対策に活用されています。

その他

パランティアは、COVID-19対策支援、ワクチン割り当てソフトウェアの開発、大規模言語モデルを統合したAIプラットフォームの開発など、多岐にわたる分野で貢献しています。特にAIプラットフォーム（Palantir AIP）は、軍事オペレーションにおけるAIの活用を視野に入れています。

2024年9月にはS&P500種に組み入れられることが決定しました。


パランティアは、ビッグデータ分析とAIの進化を牽引する企業として、その動向が注目されています。

主要株主

2024年初頭におけるパランティアの筆頭株主は以下の通りです。

Peter Thiel
Founders Fund
In-Q-Tel
Tiger Global Management

参考文献

パランティア公式サイト
米国証券取引委員会（SEC）への提出書類

外部リンク

パランティア公式サイト
* 米国証券取引委員会（SEC）への提出書類

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