パラース

パラース（Pallās）は、多様な伝承を持つギリシア神話の重要な人物の一人です。その名前は、彼が神々や巨人の子孫であることを示し、古代の様々な物語で語り継がれてきました。主に、彼はクレイオスの子、ギガースの一員、メガメーデースの子、アテーナーの父、リュカーオーンの子、パンディーオーンの子、エウアンドロスの子として知られています。

クレイオスの子としてのパラース

パラースは、古代の詩人ヘーシオドスの『神統記』によれば、ティーターン族のクレイオスとその妻エウリュビアーの息子です。兄弟には、オーケアノスの娘ステュクスとの間に生まれたゼーロスやニーケー、クラトス、ビアーがいます。このパラースについて、ヒュギーヌスは巨人とし、彼の四人の子供に加えて、スキュラや泉、湖といった存在を生み出したと記録しています。また、エピメニデースによると、彼の父はペイラースであり、エキドナの父とも言われています。アカイアのペレーネーという都市の伝説では、その地名がパラースに由来しているとされています。

ギガースの一員

また、パラースはギガースの一人でもあります。ギガースは、地母神ガイアと天空神ウーラノスの子供であるとされています。彼はギガントマキアという巨大な戦闘においてオリュムポスの神々と戦い、女神アテーナーによって敗れ、皮を剥がれました。その皮はアテーナーの武具の一部となり、彼女の名前「パラス・アテーナー」にも影響を与えたと語られています。

メガメーデースの子

また別の伝承では、パラースはメガメーデースの子ともされており、月の女神セレーネーの父とも言われています。この関係性は、特にホメーロスの伝説において重要です。セレーネーの姉妹エーオースについての言及も存在し、彼女の系統に関与していることが示唆されています。

アテーナーの父

パラースはまた、女神アテーナーの父とも考えられています。この点についてはローマの著述家キケローが言及しており、彼は「アテーナーが5人いる」と述べ、その中でパラースの娘も含まれていると語ります。アテーナーは彼女の処女を奪おうとしたため、父であるパラースに殺されたともされています。

リュカーオーンの子

さらに、アルカディアの王リュカーオーンの子供の一人であり、同地の都市パランティオンを創建した人物でもあります。リュカーオーンの50人の息子の中の一人であり、多くの伝説において重要な役割を担っています。彼の父リュカーオーンと同様に、人間を生け贄にしなかったことで知られています。

パンディーオーンの子

また、アテーナイの王パンディーオーンの子供としても紹介されています。彼には兄弟がいて、彼らは父を追放した者らを打倒するために力を合わせ、アッティカに帰還しました。その後、パラースはその後継者を持ちましたが、最終的にはテーセウスに対して反乱を起こし、滅ぼされてしまいます。

エウアンドロスの子

最後に、パラースはローマの古王エウアンドロスの子でもあります。彼はアイネイアースと共にトゥルヌスとの戦いに参加し、その戦場で多くの活躍をしました。彼の最期は悲運であり、トゥルヌスの手によって命を落としましたが、彼の死はアイネイアースにとって力強い動機となりました。

パラースは、さまざまな神話的背景や家系を持ち、多くの物語に登場するキャラクターです。彼の存在は、ギリシア神話の中で多面的な役割を果たし、それぞれの物語に深みと広がりを与えています。

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