パリの恋人

『パリの恋人』について

1957年に制作されたアメリカ合衆国のロマンティック・コメディミュージカル『パリの恋人』（原題：Funny Face）は、オードリー・ヘプバーンとフレッド・アステアで主演され、監督はスタンリー・ドーネンが務めました。この映画は、ヘプバーンにとって初めてのミュージカル映画であり、ファッションの世界を舞台にしたロマンチックなストーリーが展開されます。

ストーリー概要

物語は、ファッション雑誌『クオリティー』の編集長マギーが次号の内容に不満を抱えているところから始まります。彼女は、「ピンクで行こう！」と斬新なアイデアを思いつき、ファッションに興味のない女性向けの特集を考え出します。マギーは、カメラマンのディックと共に、グリニッジ・ビレッジで行われるロケに出かけ、そこで偶然出会った古本屋の店員ジョーをモデルとして選ぶことにします。

初めは自分のルックスに自信がなかったジョーですが、ディックに唆されてモデルの仕事を引き受け、パリでの仕事に向かいます。彼女は次第にモデルとして成長していく一方で、ディックに惹かれる気持ちが芽生えます。

パリの華やかなファッションシーンを舞台に、ジョーとディックは、撮影やショーを通じてお互いの心を通わせていきます。しかし、大きなイベントが近づくにつれ、彼女の気持ちやビジョンと、マギーの目指す雑誌の姿との間で葛藤が生まれます。特に、発表会の前夜にはトラブルが発生し、二人の関係が危うくなることも。

キャストと製作

主演のオードリー・ヘプバーンは、当時、重厚な作品からの脱却を望んでおり、フレッド・アステアとの共演に大変期待していました。アステアもこの機会を逃したくないと、他の仕事を全てキャンセルし、制作に臨みます。

本作は、レナード・ガーシュが1951年にブロードウェイのために書いた脚本『結婚の日』が基になっています。制作の過程で、実際の有名ファッションフォトグラファー、リチャード・アヴェドンがビジュアル・コンサルタントとして参加し、映画の美術面での質を高めました。

音楽と振付

映画の音楽は、ジョージ・ガーシュウィンとロジャー・イーデンスによって作曲され、その楽曲は映画全体を通じて重要な役割を果たしています。ダンスの振付は、アステア自身も関与しており、彼のスタイルが色濃く反映されています。

受賞歴と影響

『パリの恋人』はその創造的なアプローチから、アカデミー賞やカンヌ国際映画祭をはじめとする数々の賞にノミネートされました。この映画は後世に多くのファッションデザイナーに影響を与えることとなり、彼らのキャリアのインスピレーションにもなりました。特に、ヘプバーンの魅力的な姿が、多くの映画製作者や観客の心を掴んでいます。

このように『パリの恋人』は、ストーリー、音楽、演技、ファッションのすべてにおいて優れたバランスを保ちながら、今もなお観る者を魅了する作品として位置づけられています。

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