パリメトロ1号線

パリメトロ1号線：パリ最古の地下鉄路線とその歴史、未来

パリメトロ1号線は、フランスのパリ市街を東西に貫く、パリメトロの中でも最も古い歴史を持ち、現在でも最も利用者数の多い路線です。ラ・デファンス＝グランダルシュ駅からシャトー・ド・ヴァンセンヌ駅までを結んでおり、路線図では黄色のラインカラーで示されています。

パリ万博を起点に：1900年から続く歴史

1900年、パリ万博の開催に合わせて、ポルト・マイヨ駅とポルト・ド・ヴァンセンヌ駅間が開通しました。これは、パリメトロにおける最初の路線であり、当初は8駅でしたが、同年9月1日までに10駅が追加され、ネットワークの拡大が始まりました。その後も延伸工事が進められ、1934年にはシャトー・ド・ヴァンセンヌ駅まで、1937年にはポン・ド・ヌイイ駅まで路線が延長されました。そして、1992年にはラ・デファンス＝グランダルシュ駅まで延伸され、現在の路線が完成しました。ラ・デファンス方面への延伸は、RER A線とほぼ並走する形となりましたが、RERの駅はゾーン3に位置するためTicket Tや回数券が利用できないのに対し、メトロは全線均一料金であるため、パリ市内からラ・デファンス駅へはメトロの方が料金が安くなるという特徴があります。

自動運転化への挑戦と事故

近年、パリメトロ1号線では、自動運転化に向けた取り組みが進められてきました。2008年には14号線で既に導入されていた自動運転システムの導入が開始され、ホームドア設置などの安全対策も強化されています。2010年末には運転の完全自動化が完了。世界初の完全自動運転地下鉄路線を目指しました。自動運転システム導入に伴い、MP89車両からMP05（もしくはMP89NG）車両への置き換えが進められ、MP05車両では一部駅で日本語の自動放送が導入されました。これはヨーロッパの地下鉄列車としては初めての試みであり、「足下にご注意ください」といったアナウンスが、カーブ上にある駅や島式ホームの駅で流されます。しかし、2019年9月17日には、自動運転電車が暴走し、コンコルド駅、シャンゼリゼ駅、フランクリン・ルーズベルト駅を通過するという事故が発生しました。これは自動運転システムの安全性に対する課題を改めて浮き彫りにする出来事となりました。一方、2019年12月5日にフランス全土で発生したゼネラルストライキにおいては、14号線とともに自動運転のメリットを生かし、運行を継続することができました。

駅名の変遷

1号線では、開業以来、いくつかの駅名が変更されています。例えば、オブリガード駅はアルジャンティーヌ駅に、エトワール駅はシャルル・ド・ゴール＝エトワール駅に変更されました。その他にも、アルマ駅（ジョルジュ・サンク駅）、マルブフ駅（ロン＝ポワン・デ・シャンゼリゼ駅、フランクラン・D・ルーズヴェルト駅）、シャンゼリゼ駅（シャンゼリゼ＝クレマンソー駅）、パレ・ロワイヤル駅（パレ・ロワイヤル＝ミュゼ・デュ・ルーヴル駅）、ルーヴル駅（ルーヴル＝リヴォリ駅）、サン＝マンデ＝トゥレル駅（サン＝マンデ駅）などが変更されています。

未来への延伸計画

現在、1号線は更なる延伸計画が進められています。東側への延伸としては、シャトー・ド・ヴァンセンヌ駅からフォントゥネ＝スー＝ボワRATP車両工場までを旅客用として開放する計画があります。これは、現在バス118号線のみが通っているレ・リゴロー地区に地下鉄駅を開設するという計画です。西側への延伸計画としては、道路A14号線に沿ってパリ第10大学まで、あるいはN13号線に沿ってリュイユ＝マルメゾンまで延伸する案、ラ・デファンス＝グランダルシュ駅を終着駅としたままナンテール＝プレフェクチュールを経由させる案などがあります。ただし、パリ第10大学まではRER A線が既に接続しているため、実現性は未知数です。

車両の変遷

パリメトロ1号線で最初に使用された車両はM1型であり、鋼製の台枠に木製の車体という構造でした。しかし、1903年のパリメトロ火災を教訓に、より強固な素材への車体交換が進められ、1913年から1921年にかけてはSprague-Thomson製の車両に置き換えられました。1963年には、4両の動力車を持つ6両編成のゴムタイヤ走行のMP59型車両が導入されるなど、車両も時代と共に進化を遂げてきました。

まとめ

パリメトロ1号線は、1900年の開業以来、パリの交通網の中核を担い、歴史と進化を繰り返してきた路線です。自動運転化への取り組みや延伸計画など、今後もその発展は続いていくでしょう。その歴史と現状、そして未来像を知ることは、パリという都市の変遷を理解する上で重要な要素となります。

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