パリ国立歌劇場管弦楽団

パリ国立歌劇場管弦楽団

パリ国立歌劇場管弦楽団（Orchestre de l'Opéra national de Paris）は、フランスの首都パリに拠点を置く、パリ国立オペラ（Opéra National de Paris）に付属する主要なオーケストラです。かつては「パリ・オペラ座管弦楽団」という名称で広く知られていましたが、近年は活動の主要な場であるバスティーユ歌劇場にちなみ、「パリ・バスティーユ管弦楽団」（Orchestre de l'Opéra de la Bastille）とも称されています。

沿革と歴史

このオーケストラの歴史は非常に古く、その起源は1669年に創設された初期のオペラ団体にまで遡ります。現在の組織の礎は、1875年にガルニエ宮が完成し、オペラ活動が本格的に開始された時点に築かれたとされています。オーケストラもまた、この歴史的なオペラ団体の歩みと深く結びついています。

1971年には、すでに組織運営が統合されていたパリ・オペラ＝コミック座のオーケストラと合流し、演奏体制を強化しました。さらに、1990年に近代的なバスティーユ歌劇場が開場したことは、オーケストラにとって大きな転換点となりました。この新劇場を主たる活動拠点と定め、文字通り新たな章が始まったのです。

歴代音楽監督

オーケストラは、その長い歴史において、数々の著名な指揮者を音楽監督として迎えてきました。ガルニエ宮を拠点としていた時代には、ジョルジュ・プレートル、ゲオルク・ショルティ、シルヴィオ・ヴァルヴィーゾ、ローター・ツァグロセクといった世界的に名の知られた指揮者たちが重要な指導者としてオーケストラを率いました。

バスティーユ歌劇場開場以降は、韓国出身のチョン・ミョンフンが初期の音楽監督を務め、その後をジェームズ・コンロンが引き継ぎました。2009年からはスイス出身のフィリップ・ジョルダンが音楽監督に就任し、長期にわたりその任を務めました。そして2021年から2023年にかけては、ベネズエラ出身のグスターボ・ドゥダメルがそのポストにありました。これらの指揮者たちは、オーケストラの芸術性の向上に多大な貢献をしています。

主な録音活動

パリ国立歌劇場管弦楽団は、オペラ全曲録音を数多く手掛けているほか、コンサート作品の録音でも知られています。特筆すべき録音としては、伝説的な指揮者カール・シューリヒトによるモーツァルトの交響曲シリーズがあります。また、音楽監督を務めたチョン・ミョンフンは、エクトル・ベルリオーズの革新的な『幻想交響曲』や、オリヴィエ・メシアンの大作『トゥランガリーラ交響曲』など、フランス近代・現代音楽の重要な作品を録音し、高い評価を得ました。さらに、フィリップ・ジョルダン指揮によるリヒャルト・シュトラウスの交響詩『アルプス交響曲』なども、オーケストラの表現力の幅広さを示す優れた録音として挙げられます。これらの録音は、オーケストラの卓越した実力を世界に伝えています。

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