パリ条約 (1947年)

パリ条約

概要

パリ条約は1947年2月10日に調印され、旧枢軸国であるイタリア、ルーマニア、フィンランド、ブルガリア、ハンガリーなどが連合国21か国と結んだ平和条約の総称です。この条約は、一般にヨーロッパ講和条約と呼ばれています。こうした条約は、第二次世界大戦の戦後処理において重要な役割を果たしました。

背景

第二次世界大戦が終結すると、連合国はヨーロッパの戦後処理の問題に直面しました。ドイツを含むヨーロッパの秩序については、アメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦、中華民国の代表者が協力して議論を行うことになりました。イギリスとフランスは地政学的な観点を重視し、アメリカは自由選挙の実施に毎度関心が寄せられました。一方で、ソ連は自らに友好な政府の樹立を目指し、領土獲得に執着していたのです。ソ連はアメリカとイギリスとの協議を強く求めており、これによりフランスと中華民国は議論の枠から外れることとなりました。

1946年4月には、パリで行われた外相理事会でドイツ問題を棚上げにし、まずイタリアとバルカン諸国の講和問題を優先的に議論することが決まりました。翌年7月には、連合国21カ国の政府代表が集まり講和会議を開催しましたが、この会議は形式的なものであり、外相理事会による事前協議が実質的な議論を行っていたため、参加者の意見表明が主な目的となってしまいました。

講和条約の主要内容

これらのパリ条約は、ドイツを除く欧州枢軸国と連合国の間で戦争状態を終結させるものでした。具体的には、ナチス・ドイツが主導したウィーン裁定やクラヨーヴァ条約は無効とされ、大戦中の領土変更も原則として取り消されました。コーペンハーゲン条約に基づいて、ブルガリアはルーマニアから取得した南ドブロジャの領有権が認められましたが、他の地域では原則返還が決まりました。

ブルガリア平和条約

ブルガリアは、ギリシャとユーゴスラビアへの賠償金として7000万ドルを支払うことが決定されました。

フィンランド平和条約

フィンランドは、ソビエト連邦への領土割譲（ペツァモなど）及び3億ドルの賠償金支払いを約束しました。

ハンガリー平和条約

ハンガリーの場合、領土喪失に伴い国外に300万人のハンガリー人が残る事態につながり、講和に対して不満が高まりました。さらに、占領下のオーストリアとの連絡を理由にソ連軍の駐留が続けられました。賠償金としてソ連に2億ドル、チェコスロバキアとユーゴスラビアにそれぞれ1億ドルを支払うことが求められました。

イタリア平和条約

この条約では、イタリア王国軍とレジスタンスの貢献が強調されているものの、イタリアは「旧敵国」として扱われました。イタリアの一部地域はフランスやユーゴスラビアに割譲され、アルバニアやエチオピアへの賠償が強いられました。加えて、海外植民地における権利も失いました。

ルーマニア平和条約

最終的に、ルーマニアはソビエト連邦に3億ドルの賠償を支払うことで合意しました。

結論

パリ条約は、第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて重要な転換点となり、地政学的な均衡、国際関係の見直しに影響を及ぼしました。しかし、ドイツ問題に関しては未解決のままとなり、後の冷戦における東西の対立の根源を形成しました。

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