ドブロジャ

ドブロジャ

ドブロジャ（ルーマニア語: Dobrogea、ブルガリア語: Добруджа）は、ドナウ川の下流域から黒海に至る地域を指す名称で、現在はルーマニアとブルガリアにまたがる部分が存在します。この地域は、北部がルーマニア、南部がブルガリアに属しており、自然環境と文化的背景が豊かです。

地理的位置

ドブロジャという名称の由来は、14世紀の中頃にこの地域を支配していたトルコ系のクマン人の王、ドブロティチによるとされており、彼の名が地域名に結びついていると言われています。この地方は、平均的に200 - 300メートルの丘陵からなり、最高峰のマチン山塊の標高は467メートルです。地形はドナウ・デルタや黒海に近く、近年ではリゾート地としても注目されています。

行政と主要都市

ドブロジャは二つの国に分かれているため、行政区分も異なる主な都市が存在します。ルーマニアにはトゥルチャやコンスタンツァ、マンガリアなどがあります。ブルガリア側ではシリストラやドブリチ、アルベナ、バルチクが主要な都市です。それぞれの都市は豊かな歴史を持ち、多様な文化が息づいています。

歴史的背景

ドブロジャの歴史は古く、オスマン帝国の支配下に入ったのは1420年のことです。その後18世紀から19世紀にかけての露土戦争を経て、1829年にはアドリアノープル条約によって一時的にロシア帝国に編入されましたが、1856年には再びオスマン帝国に返還されました。1878年にはベルリン条約により、ルーマニア王国が南ベッサラビアと交換で北ドブロジャを獲得しました。さらに1913年の第2次バルカン戦争の結果、南ドブロジャもルーマニアに組み込まれました。しかし1940年にはクライオーヴァ条約によってブルガリア側に移され、1947年のパリ条約でこの領有が確定しました。

文化と民族

ドブロジャは、さまざまな民族が共存する地域でもあります。ルーマニア人、ブルガリア人、トルコ系住民など、18の民族が集まり、複雑な文化的な背景を形成しています。このような多様性は、地域の伝統や習慣、料理、音楽に色濃く反映されています。観光業も発展しており、美しい自然や海岸、歴史的な名所を訪れる観光客が後を絶ちません。

参考文献

• - Dănescu, Grigore (1903). Dobrogea (La Dobroudja). Étude de Géographie physique et ethnographique. Bucarest: Imprimerie de l'Indépendance Roumaine.
• - Ischirkoff, A. (1919). Les Bulgares en Dobroudja; aperçu historique et ethnographique. Berne: Imprimerie Pochon-Jent & Bühler.
• - Wittek, Paul (1952). “Yazijioghlu 'Ali on the Christian Turks of the Dobruja”. Bulletin of the School of Oriental and African Studies.

地域の深い歴史と多様な文化を持つドブロジャは、訪れる者にとって魅力的なスポットとなっています。

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