パリ植物園

パリ植物園：歴史と自然が織りなす緑のオアシス

パリ5区、セーヌ川沿いに広がるパリ植物園（Jardin des Plantes de Paris）は、フランス国立自然史博物館に属する公立植物園です。約23.5ヘクタールという広大な敷地内には、多様な植物コレクション、歴史ある温室、動物園、そして美しい庭園が広がり、多くの来園者を引きつけます。

歴史：王立薬草園から自然史博物館へ

パリ植物園の歴史は古く、1633年にルイ13世によって王立薬草園として創設されました。当初はソルボンヌ大学への対抗として、薬理学と植物学の研究拠点としての役割を担っていました。その後、ビュフォン伯ジョルジュ＝ルイ・ルクレルやジャン＝バティスト・ラマルクといった著名な科学者たちの尽力により、規模と研究内容を拡大。多様な植物が栽培され、化学、植物学、動物学などの講義が行われる一大研究拠点へと発展していきました。

フランス革命後、国民議会の決定により「自然史博物館」と改称され、現在の組織形態が確立されました。ビュフォンやルイ・ドバントンといった偉大な先人たちの貢献が、今日のパリ植物園の礎を築いていると言えるでしょう。

見どころ：多様な植物と魅力的な施設

園内には、多くの見どころがあります。

大広場とミルン＝エドワール広場

大陳列館からセーヌ川河岸まで続く約500メートルの大広場は、プラタナスの木立に囲まれたフランス式花壇が美しく、年間を通して様々な花々が咲き誇ります。その広場は、ミルン＝エドワール広場とラマルク広場に分けられ、ミルン＝エドワール広場地下には、膨大な数の動物標本を収蔵する「ゾーテック」があります。また、大陳列館前には、ビュフォン像が設置されています。

バラ園

1990年に開設されたバラ園は、170種類以上の欧州産バラを展示。バラの研究と公開を目的としており、美しいバラと彫刻が調和した空間となっています。

温室

金属製の骨組が美しい3棟の温室のうち、現在公開されているのは冬温室とメキシコ温室です。アールデコ様式の冬温室では熱帯植物、メキシコ温室では乾燥地帯の植物を展示しています。

動物園

世界最古の動物園の一つとして知られるパリ植物園の動物園は、1795年に設立されました。1100種以上の動物が飼育されており、絶滅危惧種の保護にも力を入れています。微小動物園では、小さな昆虫などを観察することも可能です。

アルプス園

1931年に創設されたアルプス園は、世界各地の山岳地帯の植物を展示。ヒマラヤ、アルプス、コルシカ島など、多様な環境に生育する2000種以上の植物を見ることができます。

植物学学校

18世紀に設立された植物学学校は、4500種以上の植物を展示し、屋外で栽培可能な植物の研究と公開を行っています。歴史的な樹木なども見ることができます。

まとめ

パリ植物園は、単なる植物園にとどまらず、歴史、科学、文化が融合した貴重な空間です。広大な敷地内には、植物、動物、そして歴史的建造物が調和し、訪れる人々に多様な体験を提供しています。 パリを訪れる際には、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。

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