パルマ・イル・ジョーヴァネ

パルマ・イル・ジョーヴァネ（Palma il Giovane）

ジャコモ・ネグレッティ（Giacomo Negretti）、またはヤコポ・ネグレッティ（Jacopo Negretti）として知られるパルマ・イル・ジョーヴァネは、1549年9月15日に生まれ、1628年10月14日に没したイタリアの画家です。彼は、大叔父にあたるパルマ・イル・ヴェッキオ（Palma il Vecchio、1480-1528）と区別するために、「若いパルマ」を意味するパルマ・イル・ジョーヴァネと呼ばれています。

生い立ちと修業

パルマ・イル・ジョーヴァネは、ヴェネツィアの画家の家系に生まれました。父親のアントニオ・ネグレッティは、パルマ・イル・ヴェッキオの甥にあたり、母親はパルマ・イル・ヴェッキオの弟子であり後継者となったボニファーツィオ・ヴェロネーゼの妹でした。幼少期から、ヴェロネーゼの工房で画家としての基礎を築きました。

1564年、ウルビーノ公グイドバルド2世・デッラ・ローヴェレがヴェネツィアを訪れた際、ジャコポの才能に感銘を受けました。公は彼を庇護し、1567年からローマへ留学させました。ローマでの4年間、ジャコポはラファエロ・サンティやティントレットの作品を熱心に研究しました。また、「ヴェネツィア派」の巨匠、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ（1490-1576）の作品を模写し、自身の画技を磨きました。1576年にティツィアーノが亡くなった際、彼が未完で残したアカデミア美術館所蔵の『ピエタ』は、パルマ・イル・ジョーヴァネによって完成されました。

作品の特徴と評価

パルマ・イル・ジョーヴァネは、ヴェネツィア派の伝統を受け継ぎながらも、独自の画風を確立しました。彼は、宗教画、神話画、歴史画など、幅広いジャンルの作品を手がけました。彼の作品は、ドラマチックな構図、豊かな色彩、そして人物の生き生きとした描写が特徴です。特に、大規模な装飾画や祭壇画にその才能を発揮しました。

パルマ・イル・ジョーヴァネの作品は、彼の生きた時代から高く評価されてきました。彼の作品は、ヴェネツィアやその周辺の多くの教会や宮殿に飾られています。また、彼の弟子たちも多く、その画風は後世の画家たちにも大きな影響を与えました。

主な参考文献

Giacomo Franco: DELLA NOBILTÀ DEL DISEGNO; DIVISO IN DVE LIBRI. In Frezzaria alla insegna del Sole, Venedig, 1611.
S. Mason Rinaldi: "Palma il Giovane. L'opera completa", Milano 1984.
Silvana Milesi, Cavagna,Salmeggia, Zucco, Palma il Giovani, corponove editrice, 1995.

関連項目

パルマ・イル・ヴェッキオ

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