パルミラ環礁

パルミラ環礁について

概要

パルミラ環礁（Palmyra Atoll）は、中部太平洋の北緯5度53分、西経162度5分に位置する環礁で、ハワイ諸島から南南西に約1600キロメートル離れています。この地域は北ライン諸島に属し、アメリカ合衆国の領有小離島の一つです。

環礁の周囲は約14.5キロメートルで、唯一の停泊可能なウェストラグーン（West Lagoon）を中心に、広大なサンゴ礁と50以上の小島、砂洲が存在します。主な植生には、ココヤシ（外来種）、ウドノキ属（特にクサトベラやトゲミウドノキ）が含まれ、ここでは多様な動物が生息しています。特に、ハワイモンクアザラシやタイマイ、アオウミガメ、アカアシカツオドリなど、保護されている種が見られることで知られています。2011年にはラムサール条約に登録され、特別な生態系としての評価を受けました。

政治的位置づけ

パルミラ環礁は、アメリカ合衆国における編入領域（incorporated territory）として認識されています。これは、アメリカ合衆国憲法の影響を受けて、永続的に合衆国の主権下にあることを示しています。ただし、非自治的領域（unorganized territory）でもあるため、合衆国の議会はその統治について具体的な方針を定めていません。このため、パルミラの統治については多くの議論があり、現在もそのステータスは変わっていません。

環礁内のクーパー島（Cooper Island）は「ネイチャー・コンサーバンシー」というNGOが所有しており、自然保護のために管理されています。他の地域はアメリカ合衆国政府が所有しています。2001年にはパルミラ環礁国立野生生物保護区に指定され、これにより保護活動が強化されています。この地域の防衛責任はアメリカ合衆国にあります。

経済活動

現在、パルミラ環礁は特に経済活動が行われていません。環礁内にある道路や通路の多くは第二次大戦中に建設されたもので、手入れがされずに草が生い茂っている状況です。クーパー島には未舗装の滑走路（パルミラ飛行場、ICAOコード：PLPA）もありますが、ほとんどの建物は戦争中に放置されたものです。

科学者や自然保護団体のスタッフなどが訪れることはありますが、その数は限られています。最近の訪問者は、環礁の美しい自然環境を保全するための研究などに従事しています。特に、淡水はコンクリート製の屋根に蓄えられ、必要に応じて利用されています。また、環礁内には共同調理場や食堂があり、居住地も整えられています。

歴史的背景

パルミラ環礁は1798年、アメリカ人の船長エドモンド・ファニングによって発見されました。その後、1802年にはアメリカの船「パルミラ」が座礁したことから、現在の名前が付けられました。以降、この地はさまざまな歴史的背景を経て、アメリカ合衆国の領土となりました。1859年にアメリカのグアノ会社が島を領有し、その後、ハワイ王国に併合されました。

第二次大戦中にはアメリカ海軍がこの地域を管理下に置き、戦後は放置されましたが、1947年にフラード・レオ家が所有権を確保しました。1990年代には、環礁の開発計画や自然保護の取り組みが行われ、現在はネイチャー・コンサーバンシーが管理しています。

パルミラ環礁はその独特な環境と歴史的な背景が魅力で、多くの研究者や自然愛好家にとって特別な場所となっています。

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