パロディウス

パロディウスシリーズ

コナミ（現在のコナミデジタルエンタテインメントおよびコナミアミューズメント）が手掛ける『パロディウス』は、強制横スクロールシューティングゲームの異色シリーズです。1988年にMSX用ソフト『パロディウス 〜タコは地球を救う〜』で登場して以来、1990年のアーケード版『パロディウスだ! 〜神話からお笑いへ〜』をはじめ、多くの続編が制作されました。

本シリーズは、同社の看板シューティングゲーム『グラディウス』シリーズのセルフパロディとして企画されました。そのため、プレイヤーが選べるキャラクターには、『グラディウス』でお馴染みの自機ビックバイパーがシリーズを通して必ず登場します。ゲームBGMには、著作権の切れたクラシック楽曲や、コナミの他タイトル曲をコミカルにアレンジしたものが多用されている点も特徴です。

自社ゲームのパロディ作品は他社にも存在しますが、『パロディウス』シリーズのように多数の続編が制作され、幅広い展開を見せた例は数少ないと言えます。システム面では『グラディウス』の要素を踏襲しつつ、初代を除く多くの作品で最終ボスの難易度が低めに設定されている点も、元ネタへのユーモラスなオマージュとして知られています。

初代『パロディウス 〜タコは地球を救う〜』

シリーズの原点であるMSX版『パロディウス 〜タコは地球を救う〜』は、夢を食い荒らす妖獣「バグ」の討伐を目指します。ゲームシステムは『グラディウス』のパワーアップゲージ方式を基本に、同社の『ツインビー』シリーズから取り入れられた「ベル」による特殊パワーアップ要素が加わり、独特のゲーム性を確立しました。

登場キャラクターには、主人公のタコをはじめ、『けっきょく南極大冒険』のペンギン、『がんばれゴエモン』のゴエモン、『魔城伝説』シリーズのポポロン、そして『グラディウス』のビックバイパーといったコナミ作品のキャラクターたちが集結しました。グラフィックは異なりますが、キャラクターによる性能差はありません。特に、MSX版『グラディウス2』で主役を譲ったとされるビックバイパーが、どこかオンボロな雰囲気で関西弁を喋るというユニークな設定が与えられています。

開発は、MSX版『グラディウス』と『ツインビー』の隠しモードから着想を得たと言われています。開発期間は約1ヶ月と短く、他のタイトル開発の合間に社員のストレス解消として作られた側面がありました。この自由な背景が、既存のゲームの枠にとらわれない、奇抜でユーモラスな演出や、予測不能なゲーム展開を生み出す要因となりました。

パワーアップシステムでは、赤いカプセルでゲージを進める基本方式に加え、本作独自の「ルーレットカプセル」が登場します。これにより、高速回転するゲージからランダムでパワーアップを得られますが、全てのパワーアップを失う「何〜やそれ！」といったハズレも含まれ、スリル満点でした。キャラクターによってパワーカプセルの見た目が異なり、タコはチューハイ缶、ペンギンは魚など、細かなパロディ表現が見られます。

また、敵を倒すと出現するベルを取得することで、一定時間特殊な効果を発動できます。ショットで色を変えることで効果が変化し、敵一掃効果や、画面の左右や上下が繋がるワープ効果（一部必須箇所あり）、自分以外の時間を止める効果など、バラエティ豊かな特殊能力がゲーム攻略にアクセントを加えました。他にも、じゃんけんの勝敗で展開が変わるボス戦など、これまでのシューティングゲームにはない驚きの要素が盛り込まれています。

初代作は、家庭用コレクションソフトや携帯アプリ、バーチャルコンソールなど、様々なプラットフォームに移植され、多くのプレイヤーに楽しまれています。この成功を受け、シリーズはアーケードや家庭用ゲーム機を中心に発展し、パチンコやパチスロといった分野にも展開されるなど、ゲームの枠を超えた広がりを見せました。

『パロディウス』シリーズは、『グラディウス』のゲーム性に、日本のユーモアやポップカルチャーを取り入れた独特の世界観が見事に融合した作品群です。シリアスさと不条理な笑いが同居するその独自の魅力は、今なお多くのファンに愛され続けています。

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