バンキア

バンキア (Bankia S.A.)：スペインの金融コングロマリット、その興亡の歴史

バンキアは、かつてスペインに存在した銀行であり、2010年12月に7つの貯蓄金庫が統合して設立された金融コングロマリット、金融貯蓄銀行（Banco Financiero y de Ahorros, S.A.）の銀行子会社でした。2019年時点では、2,000億ユーロを超える資産を保有し、スペイン第5位の銀行でしたが、2021年3月にカイシャバンクに買収され、その歴史に幕を閉じました。

バンキア設立の背景

2008年の金融危機後、スペイン銀行はSIP（Sistema Institucional de Protección：制度的保護システム）と呼ばれる金融モデルを通じて、国内の貯蓄金庫制度の再編を推進しました。その再編の重要な一環として、2010年にカハ・マドリード（Caja Madrid：マドリード貯蓄金庫）とバンカハ（Bancaja：バレンシア・カステジョン・アリカンテ貯蓄金庫）が経営統合し、金融貯蓄銀行が創設されました。さらに、ラ・カハ・デ・カナリアス（La Caja de Canarias：カナリア諸島貯蓄金庫）、カッシャ・ライエターナ（Caixa Laietana：ライエターナ貯蓄金庫）、カハ・リオハ（Caja Rioja：ラ・リオハ貯蓄金庫）、カハ・アビラ（Caja Ávila：アビラ貯蓄金庫）、カハ・セゴビア（Caja Segovia：セゴビア貯蓄金庫）など、複数の小規模貯蓄金庫がこの統合に加わりました。

この経営統合はカハ・マドリードが中心となり、総額3,400億ユーロの資金と、金融再生整備基金（FROB）からの約44億6,500万ユーロの支援を受けて行われました。2010年12月3日に金融貯蓄銀行が正式に設立され、翌2011年1月1日から業務を開始しました。2011年3月2日には、統合によって誕生した銀行の名称として「バンキア（Bankia）」が発表されました。7つの貯蓄金庫の統合は、2010年7月3日の調印からわずか4ヶ月という短期間で実施されました。この統合は、「fusión fría（冷めた統合）」と呼ばれるSIPモデルに沿って実行されました。

バンキアの誕生と展開

2011年3月には、7つの貯蓄金庫の各取締役会において、資産と負債のバンキアへの移管、新商号への変更、社会事業の継承、所有建造物の登記変更などが承認されました。SIPモデルを構成する全ての参加貯蓄金庫が「Bankia」の商号で事業を行うようになり、カハ・マドリードの金融機関コード2038を引き継いでいたバンキアには、民間銀行に割り当てられた金融機関コード0099が与えられました。同時に、金融貯蓄銀行の各支店コードも新たに設定されました。

経営危機と国有化

2012年5月、バンキアは経営難に陥り、スペイン政府による支援融資を受け、部分的に国有化されました。2012年5月25日には、190億ユーロというスペイン史上最高額の緊急援助を要請しました。新会長に就任したホセ・イグナシオ・ゴイリゴルサーリは、前任者のロドリゴ・ラトが発表した3億2,800万ユーロの利益とは対照的に、43億ユーロ（財政信用を考慮した29億8,000万ユーロ）の損失を報告しました。

カイシャバンクによる買収と終焉

2021年3月、スペイン当局はカイシャバンクによるバンキアの買収を承認し、バンキアはカイシャバンクに吸収合併されました。これにより、バンキアは設立からわずか10年でその歴史に幕を閉じることとなりました。

バンキアの参照

一般利用者向けウェブサイト（スペイン語）
一般利用者向けウェブサイト（英語）
一般利用者向けウェブサイト（カタルーニャ語）
Bankia - Facebook（スペイン語）
Bankia (@bankia) - X（旧Twitter）（スペイン語）
Bankia - YouTubeチャンネル（スペイン語）

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