パンケナイ川 (枝幸町)

パンケナイ川

パンケナイ川（パンケナイがわ）は、北海道の枝幸町を流れる川で、北見幌別川の支流として知られています。この川は、北見山地のポロヌプリ山の北東を源としており、いくつかの支流が合流しながら南へ流れ、やがて平地に出て北見幌別川に注ぎます。秋になると、パンケナイ川にはサケがさかのぼる姿が見られ、近くには「サケの里」というサケ・マスのふ化施設兼資料館があります。

地理

パンケナイ川は、その流れの中で多くの自然の支流を受け入れながら、山中を静かに流れ続けます。歌登パンケナイ地区に入ると、その流れは穏やかになり、周囲の風景が変わります。この地域の豊かな自然環境は、サケの生息地としても重要です。

歴史

パンケナイ川の歴史は、明治時代にさかのぼります。当時、この地域には2、3軒のアイヌの家が存在しており、熊が出没する密林が広がっていました。しかし、1898年6月に金を求める堀川泰宗の探検隊がパンケナイ川で有望な砂金を発見したことが、この地域の運命を大きく変えることとなります。彼の発見により、周囲の漁民たちが数百人も川に押し寄せ、砂金を採るためのゴールドラッシュが始まりました。

堀川は砂金採取の権利を申請し、1898年11月には正式に認可を受けます。彼は川沿いに事務所を設立し、事務員や請願巡査を配置しました。入区料を支払うことで、採鉱者は自身の採取した砂金を所有することができました。密採を行う者は、請願巡査によって厳しく取り締まられました。採掘された砂金の大半は小さな粒として産出されましたが、初期には塊状の金も見つかりました。その中でも、記録に残る最大の金塊は738.75gに達しました。

1900年2月、堀川は一部の鉱区をアメリカのセール商会に9,000円で売却しました。この商会は直接採取を行い、他の業者は入区料を取ることで採金を行うこととなり、地域には商店や飲食店などが30戸ほど開店し、小さな集落が形成されました。

パンケナイ川の上流には、支流のポンパンケナイ川があり、近くにはペーチャン砂金地が存在していました。この地域はパンケナイ川とは水系が異なるものの、交通の要所として賑わいを見せ、商業活動が活発に行われていました。

しかし、砂金の採掘は初期の盛況が続かず、数年のうちにその効率が低下していきました。1900年6月には320人いた採掘者も、翌年には213人に減少し、以降も漸減が続きました。大正時代には、周辺地域での鉱区が次々と閉鎖される中で、パンケナイ川の採掘は細々と続けられ、最終的には砂金採りが行われなくなりました。

現在、パンケナイ川の周囲には建物は存在せず、自然の美しさがそのまま残っています。川の存在は、当地の歴史を物語る重要な要素であり、静かな流れの中にかつての賑わいをしのぶことができます。

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