パンサー (装輪装甲車)

パンサー装輪装甲車の概要

パンサー（ヘブライ語: פנתר、英語: Panther）は、2019年に発表され、2021年にはイスラエル国防軍に配備された装輪装甲車です。この車両は、ヨルダン川西岸地区での治安維持任務のために設計され、従来のゼーブ装輪装甲車やサファロン装輪装甲車を更新する目的があります。

開発経緯

パンサーは、アメリカのオシュコシュ・コーポレーションが開発した軍用トラックFMTVを基にしており、イスラエル国防軍の技術・整備科の主導のもとで開発されました。イスラエルの軍隊は、約2017年頃から従来のM35 2.5tトラックやM809 5tトラックをFMTVシリーズへと更新し始めており、その維持管理コストを抑える意図からもFMTVがパンサー装甲車の設計基盤として選ばれたのです。

車両の性能

パンサーは約10トンの重さを持ち、舗装された道路を時速90-100kmで走行できる技術を持ちながら、安全面を考慮して最高速度は60-70kmに制限されています。その車体設計はFMTVとの部品共通化が図られており、運転席部分はトラックモデルとほぼ同様の構造です。トラックの荷台部分には兵員室が設置され、最大12-14名の兵士が搭乗可能です。さらに、負傷者を収容するための担架を床に乗せるスペースもあり、6名の負傷者を載せることができます。

防護性能

パンサーの兵員室は装甲化されており、手榴弾や火炎瓶、7.62mmライフル弾から兵士を保護する能力を持っています。しかし、対戦車ミサイルのような重火器に対抗するための防護力は備えておらず、ナメルやエイタンのような前線で運用される重装甲車の代替としては不十分です。

配備と運用実績

2019年にパンサーの試作車両が初めて公開され、2021年にはヨルダン川西岸地区における作戦部隊に引き渡されました。さらに、2022年に発生した多発テロ攻撃への対応としてパンサーが活用されましたが、その大きな車体のため、狭い路地への進入が難しいという課題が明らかになりました。このため、より小型のティグリスが2023年初頭に緊急追加配備される事態となりました。

最後に

パンサー装輪装甲車は、イスラエルにおける治安維持活動をサポートする重要な装備です。今後の運用や改良についても、関心が寄せられることでしょう。

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