M35 2.5tトラック

M35 2.5tトラックの概要

M35 2.5tトラックは、第二次世界大戦後にアメリカ合衆国で開発された軍用の6×6輪駆動トラックです。この車両は1950年代から2000年代にかけて、アメリカ軍やその輸出先で広く使用されました。特にその運用期間は約50年に及び、信頼性と耐久性の高さから中型クラスのトラックとして根強い人気を誇ります。

歴史的背景

第二次世界大戦中、アメリカ軍はGMC CCKWを含む2.5トントラックを約80万両生産し、様々な戦場で活躍しました。戦後の1949年、これらのトラックの後継車両として、レオ・モーター・カー・カンパニーが新型の6×6トラックを開発。それがM34で、その後、タイヤ仕様を変更して生まれたのがM35です。

M35は積載量が2.5トンとされ、これはオフロードでの性能を基にした数値で、舗装道路では最大で約4.5トンの積載が可能です。設計はシンプルかつ保守的で、先進技術を使っていないため、整備が容易で高い信頼性を持っています。アメリカ軍に導入されると、すぐにその中核となり「Eager Beaver」とのニックネームでも親しまれました。また、「デュース・アンド・ア・ハーフ」という愛称でも知られています。

派生型と仕様

M35は様々な派生型が存在し、ホイールベースにはショート、ロング、エクストラロングの三種類が用意されています。これらはウインチ装備型と未装備型があり、荷物を積載する際に利便性が多様です。キャブは主にソフトトップで、M2重機関銃を装備できるリングマウントを取り付けることも可能です。このようにM35は非常に多目的なトラックとして設計されていたのです。

特にベトナム戦争ではM54トラックと共に前線で使用され、補給コンボイの護衛に改造された車両も存在しました。鋼鉄製の装甲板を装着し、複数の重機関銃を搭載したガントラックとして活躍しました。また、湾岸戦争ではM35がまだ現役で使用されており、アラビア半島の過酷な環境でも任務を遂行しました。

エンジンと改良

M35の初期モデルにはレオ製のゴールド・コメットガソリンエンジンが搭載されていましたが、燃費や性能向上を求める声から1960年代にコンチネンタル製のマルチフューエルエンジンへと換装され、M35A1ステータスが付与されました。その後、さらなる改良としてLD-465エンジンが採用され、ガソリンやジェット燃料も使用可能な多用途エンジンとして非常に高い柔軟性を持っていました。

継続的な運用と後継車両

1990年代末には後継のFMTVシリーズに更新が開始されましたが、一部のM35は2003年のイラク戦争に派遣されるなど、依然として多くの国で使用され続けています。また、カナダや韓国でもM35のライセンス生産型が開発され、それぞれの国軍で運用されています。

これまでに製造されたM35系トラックは150,000台を超え、戦闘や非戦闘の両面で多くの任務を担ったことが、その長い運用期間につながっています。M35トラックの持つ堅実なデザインと高い性能は、今後も多くの場面で活用されることでしょう。

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