ゼーブ装輪装甲車

ゼーブ装輪装甲車とは

ゼーブ装輪装甲車（Zeev Armoured Vehicle）は、イスラエルが開発した四輪駆動の軍用装甲車です。ヘブライ語で「狼」を意味する「Zeev」という名前が付けられています。この装甲車は、イスラエル軍のM113装甲兵員輸送車の機能を受け継ぎつつ、現代の市街戦に対応した設計が施されています。

開発の背景

ゼーブ装輪装甲車は、イスラエルの企業Hatehofと、国防省の開発部門であるラファエルによって共同開発されました。M113は装軌式の装甲車であり、多様な戦場に対応できる汎用性がありますが、ゼーブでは市街地での機動性が重視されています。そのため、民間トラックを基にして設計されており、大径タイヤを持たず、小径のタイヤが採用されています。

リアタイヤはダブルタイヤで構成され、重量のある装甲兵員室の支えを強化しています。特に、ガラス部分は金網で保護されており、効果的な防御を施されています。これは、ゼーブが主に低強度紛争に使用されることを考慮した結果です。

機能と性能

ゼーブ装輪装甲車は、フォードF-550ピックアップトラックのシャーシをベースにしており、V8エンジンを搭載しています。このエンジンは6,000ccのターボディーゼルエンジンで、強力な出力を実現しています。重装甲を備えつつも高い機動性を誇るため、さまざまな作戦に適応しています。2006年からイスラエル軍へ実戦投入され、以来、国内外で使用されています。

戦歴と運用

ゼーブ装輪装甲車は、2006年に実戦配備されました。このため、まだ新しい車両であり、メディアでの露出は限られていますが、近年のガザ地区やヨルダン川西岸地区での紛争においてその姿を見かけることがあります。特に、これらの地域では低強度紛争が継続しており、ゼーブがその対応に当たっています。また、海外では憲兵隊のパトロール車両としての採用が多く見られます。

他国での運用

ゼーブはイスラエル国内だけでなく、ブラジルやエチオピア、ジョージア、北マケドニア、ルーマニアなどでも運用されています。これらの国々では、民間や軍の特殊部隊での利用が進んでおり、ゼーブの多目的性が評価されています。

継承と後継

イスラエル軍は2019年以降、ゼーブの後継車両としてパンサー装甲車の導入を進めています。さらに、2023年にはより小型で高機動なティグリス装甲車が緊急配備され、現代の戦場に即した先進的な選択肢として注目を集めています。

まとめ

ゼーブ装輪装甲車は、イスラエルの軍事的なニーズに応じて設計された特異な装甲車です。市街戦に特化した機動性、高い防御力を兼ね備えており、低強度紛争への対応に非常に効果的な車両となっています。今後の展開にも注目が集まっており、イスラエル軍や他国の運用部隊にとって重要な資産であることは間違いありません。

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