パンテオン (ローマ)

パンテオンの歴史と建築

パンテオン（Pantheon）は、ローマのマルス広場近くに建つ、古代ローマの象徴的な神殿です。元々は全てのローマの神々を祀るために建設されたことから、汎神殿とも呼ばれています。この壮麗な建物は、旅人や観光客を惹きつける魅力を持っています。

建設の歴史

パンテオンの最初の建物は紀元前25年、初代皇帝アウグストゥスの友人であり側近のマルクス・ウィプサニウス・アグリッパによって建造されました。アグリッパによるこの神殿は、アウグストゥスを讃えるために予定されていましたが、市民の反発を考慮して「全ての神を称える万神殿」とすることに変更されたと言われています。この最初のパンテオンは、後に火災によって焼失してしまいました。

その後、118年から128年にかけて、ローマ皇帝ハドリアヌスの命により再建されたのが現在見ることができるパンテオンです。この新しいパンテオンには、正面に「M. AGRIPPA L. F. COS TERTIUM FECIT」という銘文が刻まれており、アグリッパへ敬意を表しています。

建築の特徴

現在のパンテオンは、直径43.2メートルの円堂と半球形のドームを持ち、深さ4.5メートルのローマン・コンクリートの基礎の上に建てられています。壁面は厚さ6メートルに達し、様々な材質が使われており、高さによって使い分けられています。ドームの上部は凝灰岩と軽石で構成され、厚さは1.5メートルにまで減少します。

さらに、床からドームの頂部までの高さは、直径と同じ43.2メートルです。ドームの中央にはオクルスと呼ばれる直径9メートルの開口部があり、天窓として機能しています。このオクルスは、光を取り入れると同時にドームの物理的な重量感を和らげる効果があります。オクルスの円形デザインは、ローマの黄金宮殿ドムス・アウレアの影響を受けており、非常に高度な建築技術を必要としました。

現代におけるパンテオン

ローマの神々の信仰が薄れた後、パンテオンは608年頃にキリスト教の聖堂として転用され、これにより破壊を免れました。この神殿の非常に強固な構造は、今日でもその荘厳な姿を保っており、ラファエロ・サンティやイタリアの歴代の王族の墓もここにあります。

毎年8月6日と9日には、「Never more Hiroshima」と題した催しが行われ、ペンテコステ祭の際には天窓からバラが舞い落ちる美しい光景が見られます。

周辺の観光スポット

パンテオンに訪れる際は、近くにあるサンティニャーツィオ・デ・ロヨラ教会もぜひ訪れることをお勧めします。パンテオンはその歴史的な価値と美しい建築で、訪れる人に感動を与え続けています。

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