パンドリナ

パンドリナ (Pandorina)

パンドリナは、特徴的な細胞群体を形成する鞭毛藻類の一つです。この藻類は、細胞が互いに密接に結びつき、通常は球形や楕円形の群体を構築します。全ての細胞はクラミドモナスに似た形状を持ち、等長の二本の鞭毛を備えています。また、細胞はゼラチン質の膜に包まれており、そのため柔らかい印象を与えます。

特徴

パンドリナの細胞は互いに押し合って配置されており、角張った形をしています。一般的には、パンドリナの細胞群体は約16個から32個、時には8個という数の細胞から構成されており、細胞の大きさは種にもよりますが、例えばP. morumではそれぞれ8-17μmほどです。一方で、群体全体の大きさは20μmから200μmと、個体サイズに比べて変動があります。

群体の前方に位置する細胞は、眼点の大きさが他の細胞と比べて大きい傾向があるため、進行方向にも明確な差が見られます。この特徴は、群体が移動する際の可視性に影響を与える可能性があります。

和名では「カタマリヒゲマワリ」や「クワノミモ」と呼ばれることがあります。前者はP. morumの和名として用いられ、後者はその形状がクワの実に似ていることから来ています。

生育環境

パンドリナは池沼や田んぼなどの水たまりでよく見られ、特にP. morumはこれらの環境のプランクトンとして非常に代表的な存在です。この種は、時折水の華を形成することもあります。

一般的に、パンドリナは湿気のある環境で繁茂し、その存在が広範囲に及ぶため、観察しやすい藻類の一つとされています。

生殖

無性生殖の際は、個々の細胞が分裂し、同数の細胞を持つ新たな群体が形成されることで行われます。その後、これらの娘群体は独立して成長します。このような生殖法がパンドリナにおける主な繁殖方法ですが、同形の配偶子を形成することによって有性生殖を行うこともあります。

興味深い点として、細胞分裂後、鞭毛は内側に向いており、群体が外向きに反転することによって鞭毛が外に向くことが知られています。このプロセスも、パンドリナの生活史における重要な特徴です。

分類

パンドリナの外見上の特徴は、細胞が互いにくっつき合い、球状の形を取ることです。これは、ユードリナ（Eudorina）と似た外観を持ちながら、細胞間の接触の密度が異なるため、見分けることができます。より厳密には、群体のいくつかの特徴、特に有性生殖の形態によって異なる種と区別されます。例えば、P. unicoccaとE. unicoccaは栄養体では区別が難しく、具体的な同定には配偶子の形態を確認する必要があります。

現在確認されているパンドリナの種は世界中で7種ですが、日本からは特にP. morumとP. unicoccaが広く報告されています。これらは水田や池沼から見つかることが多く、特にP. morumは日本全土にわたって一般的に見られます。

出典

• - 水野寿彦、高橋永治編著、『日本淡水動物プランクトン検索図鑑』、(1991)、東海大学出版会
• - 岡田要他、『新日本動物圖鑑〔上〕』、(1965)、図鑑の北隆館
• - 野崎久義、「ボルボックス類」：『朝日百科 植物の世界 12』、(1997)、朝日新聞社：p.218-219
• - 月井雄二、『原生生物 ビジュアルガイドブック 淡水微生物図鑑』、(2010)、誠文堂新光社
• - 滋賀の理科教材研究委員会編、『やさしい日本の淡水プランクトン 図解ハンドブック』、(2005)、合同出版

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