パンパシフィック・カッパー佐賀関製錬所

パンパシフィック・カッパー佐賀関製錬所について

パンパシフィック・カッパー佐賀関製錬所は、大分県大分市佐賀関に位置する、パンパシフィック・カッパー株式会社が運営する製錬所です。その歴史は古く、明治時代に佐賀関鉱山での銅製錬に遡ります。

明治時代の製錬と煙害問題

明治時代、佐賀関鉱山では銅の製錬が行われていました。しかし、1894年から1895年にかけて、煙害による農作物の枯死が深刻な問題となり、製錬所の操業は一時休止を余儀なくされました。明治30年代初めに再開が計画されましたが、住民の反対運動が起こり、1900年には福岡鉱山監督署が製錬所の設置を不許可としたため、再開は実現しませんでした。

大正時代の再開と大煙突の建設

大正時代に入ると、久原鉱業株式会社（後の日本鉱業）が佐賀関鉱山を買収し、1916年に佐賀関鉱山附属製錬所（後の日本鉱業佐賀関製錬所）を開設しました。この際、煙害を防止するために、当時としては画期的な高い煙突を建設する計画が立てられました。

1916年12月、高さ167.6m、下部直径約29m、上部直径約8mの鉄筋コンクリート構造を持つ第一大煙突が完成しました。完成当時、この煙突は日立鉱山の大煙突（高さ155.7m）を抜き、世界一の高さを誇りました。しかし、約1年後の1917年11月には、アメリカの製錬所の煙突（高さ174m）に抜かれました。それでも、その後も「東洋一の大煙突」、「関の大煙突」として、長らく佐賀関地区のシンボルとして親しまれてきました。

第二大煙突の建設と変遷

1972年には、高さ約200mの第二大煙突が完成し、2本の煙突が並び立つ景観が見られました。佐賀関製錬所は、1992年11月に日本鉱業が設立した日鉱金属に譲渡され、2006年には日鉱金属と三井金属鉱業が共同で設立したパンパシフィック・カッパーの子会社である日鉱製錬に継承されました。

そして2010年4月1日、パンパシフィック・カッパーが日鉱製錬を吸収合併したことにより、現在のパンパシフィック・カッパー佐賀関製錬所となりました。

第一大煙突の解体と現在

2012年9月、建設から100年近くが経過し老朽化が進んでいた第一大煙突について、崩壊の危険性も考慮され、解体・撤去することが公表されました。解体工事は同年10月から行われ、2013年5月末に完了しました。現在、跡地には記念として高さ1.5mの部分が残されています。解体後、排煙機能は第二大煙突に集約され、製錬所の操業は継続されています。

佐賀関製錬所は、日本の産業発展に貢献してきた重要な施設であり、その歴史は地域の歴史とともに語り継がれています。

関連情報

関連文献:
「国内鉛製錬所の概要」『日本鉱業会誌』第78巻第894号、日本鉱業会、1962年
関連項目:
日本鉱業佐賀関鉄道
佐賀関町国民健康保険病院
日本鉱業佐賀関硬式野球部（かつて存在した社会人野球チーム）
外部リンク:
パンパシフィック・カッパー

もう一度検索