製錬

製錬工程：鉱石から金属への変遷

製錬とは、熱や化学反応を用いて、鉱石などの原料から有用な金属を取り出す工程です。電気分解や化学処理による金属の純度向上（精錬）とは明確に区別されますが、一般的には両者の区別が曖昧な場合もあります。鉄の生産工程では、鉱石を溶かして粗鋼を作る工程を製錬、不純物を除去して炭素量などを調整する工程を精錬と呼びます。

製錬工程の概要

鉱山で採掘された鉱石から、選鉱工程を経て不純物を取り除いた有用鉱物を「精鉱」と呼びます。製錬工程は、この精鉱から金属を抽出する工程です。従来は、精鉱は鉱山での最終産物とされ、世界各地の製錬所で金属抽出が行われていましたが、近年では、アメリカ南部やチリ、ペルーなどの乾燥地帯を中心に、鉱山で製錬を行う「現地製錬」も増加しています。これは、SX-EW法（溶媒抽出・電解採取法）などの技術革新によるものです。

製錬の手法

製錬には大きく分けて以下の2種類の手法があります。

1. 乾式製錬

高温の炉を用いて原料鉱石を融解し、目的の金属を分離する方法です。一度に大量処理が可能で効率的ですが、耐熱設備の定期的なメンテナンスが不可欠です。

2. 湿式製錬

金属や不純物を薬液に溶解し、化学反応を利用して目的の金属を取り出す方法です。安定した継続的な処理が可能ですが、薬液のコストがかかる点が課題です。

その他、還元製錬や溶融塩電解などの方法も存在します。それぞれの方法には、処理できる鉱石の種類や金属の種類、コストや環境への影響など、様々な特性があります。

日本の製錬所

日本には、銅、鉛、亜[[鉛]]、金、銀、アルミニウムなど様々な金属を製錬する工場が各地に点在しています。以下に、主要な製錬所の例を示します。ただし、これは網羅的なリストではなく、代表的な製錬所を抜粋したものです。また、各製錬所の生産能力や設備などは、時代の変遷とともに変化している可能性があります。

銅製錬所

パンパシフィック・カッパー佐賀関製錬所（大分県大分市）
パンパシフィック・カッパー日立精銅工場（茨城県日立市）
三菱マテリアル直島製錬所（香川県香川郡直島町）
住友[[金属鉱山]]東予工場（愛媛県西条市・新居浜市）
小坂製錬小坂製錬所（秋田県鹿角郡小坂町）
小名浜製錬小名浜製錬所（福島県いわき市）
日比共同製錬玉野製錬所（岡山県玉野市）

鉛製錬所

東邦亜[[鉛]]契島製錬所（広島県豊田郡大崎上島町）
三井[[金属鉱業]]竹原製煉所（広島県竹原市）
小坂製錬小坂製錬所（秋田県鹿角郡小坂町）
住友[[金属鉱山]]播磨事業所（兵庫県加古郡播磨町）

亜[[鉛]]製錬所

神岡鉱業神岡鉱業所（岐阜県飛騨市）
彦島製錬彦島製錬所（山口県下関市）
東邦亜[[鉛]]安中製錬所（群馬県安中市）
八戸製錬八戸製錬所（青森県八戸市）
住友[[金属鉱山]]播磨事業所（兵庫県加古郡播磨町）
秋田製錬飯島製錬所（秋田県秋田市）

水[[銀]]製錬所

野村興産イトムカ鉱業所（北海道北見市）：日本唯一の水[[銀]]地金回収拠点。水[[銀]]の蒸留製錬法を用いて、乾電池や蛍光灯などから水[[銀]]を回収しています。

金・銀製錬所

中外[[鉱業]]東京工場（東京都大田区）：貴金属スクラップを原料とし、白[[金]]やパラジウムも製錬しています。
三井串木野鉱山串木野製錬所（鹿児島県串木野市）：青化法による湿式製錬を行っています（2018年現在）。

アルミニウム製錬所

2014年の日本軽金属蒲原工場の製錬事業終了以降、日本国内ではアルミニウムの製錬は行われていません。

まとめ

製錬工程は、現代社会の基盤を支える重要な産業です。今後、資源の枯渇や環境問題への対応、技術革新など、様々な課題に対応していく必要があります。

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