パークウォード

パークウォード社は、1919年、ウィリアム・マクドナルド・パークとチャールズ・W・ウォードによってロンドンのウィルズデンで設立されたコーチビルダーです。同社は、既存の馬車製造業からの転身ではなく、創業当初から自動車ボディの製造に特化していた点が特徴的でした。この先進的な姿勢と、高い品質のコーチワークにより、創業間もなく高い評価を獲得することとなります。

創業当初からデイムラー、モース、ランチェスター、サンビームといった当時の名だたる自動車メーカーにボディを供給していました。ロールス・ロイスとの関係は、中古シャシーへのオープン・ツアラー架装から始まりました。1921年には初めてロールス・ロイスからの正式な注文を受け、その高い品質と手頃な価格で信頼を勝ち取ります。1920年代末から1930年代初頭にかけては、ロールス・ロイス車のボディ架装の大部分を請け負うまでに成長しました。ロールス・ロイスの代表車種であるシルヴァーゴーストのボディ架装にも携わっています。

1933年には、ベントレー3½リットル車の全鋼製ボディ開発に参画。この成功は、パークウォード社の技術力の高さを広く世に知らしめ、ロールス・ロイスとベントレーの主要コーチビルダーとしての地位を確固たるものとしました。この全鋼製ボディの開発は、後にロールス・ロイス社自身による全鋼製ボディの採用を促す大きな要因となりました。パークウォード社は、革新的な技術と高い品質で、自動車業界に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

第二次世界大戦中は、戦時体制下における国家への貢献として、航空機の機体部品製造や、フォードやハンバーといったメーカーへの救急車ボディ供給に力を注ぎました。戦時下の困難な状況の中でも、その高い技術力を活かし、社会に貢献し続けたのです。

戦後、パークウォード社はH・J・ミュリナー社と合併し、「H・J・ミュリナー・パークウォード」となりました。長い歴史と伝統を誇る二社の合併は、自動車ボディ製造業界における大きな出来事であり、その後の業界の発展に貢献したことは間違いありません。

パークウォード社は、創業から合併に至るまで、常に高い技術力と品質を追求し続けました。ロールス・ロイスやベントレーといった高級車メーカーとの協力関係を築き、数々の名車の誕生に貢献したその歴史は、自動車史において重要な一頁を刻んでいます。彼らの技術革新は、自動車デザインや製造技術の発展に大きな影響を与え、現代の自動車産業にもその足跡を残していると言えるでしょう。ロールスロイス、ベントレーの伝統と革新を支えた、名もなき職人たちの技が、そこには息づいています。

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