パーシヴァル マーガンサー

パーシヴァル マーガンサー

パーシヴァル マーガンサー（Percival Merganser）は1940年代後半に設計された小型の民間用輸送機です。この機体は全金属製であり、外皮構造を持つ双発の高翼単葉機として知られています。その特徴的なデザインには、引き込み可能な降着装置が組み込まれています。「マーガンサー」という名称は、鳥のアイサを指す言葉でもあります。

設計と開発

マーガンサーは、乗客に快適な体験を提供することを重視して設計されました。5名定員の小型旅客機であるこの機体は、最高の視界を確保し、乗降が容易な低床デザインを実現するために、高い翼配置と首輪式の降着装置が採用されています。1946年11月には胴体部分が完成し、パリ航空ショーに展示するために鉄道でパリに運ばれました。しかし、搭載予定だったデ・ハビランド ジプシー・クイーン51エンジンの生産終了や適切なエンジンの入手困難から、マーガンサーの運命はこの時点でほぼ決まってしまいました。

運用の歴史

マーガンサーは初飛行を1947年5月9日にルートン空港で行いました。搭載されたエンジンは軍需省から借り受けたもので、パーシヴァル社はこの機体を用いてさまざまな飛行試験を実施しました。この試験から得られた貴重なデータは、同社の今後の機体開発に寄与しました。1947年9月にはラドレットで開催されたSBACショーで披露されたものの、1948年8月には廃棄処分となりました。追加の機体も構造テストのために用意されましたが、マーガンサーは全く量産されることはありませんでした。しかし、試験中に得られたデータは、適切なエンジンを入手できた際のプリンス、プレジデント、パーシヴァル ペンブロークシリーズ等のさらなる開発へとつながりました。

派生型

マーガンサーにはいくつかの派生型も提案されましたが、いずれも製作には至りませんでした。主な派生型には以下が含まれます：

• - P.48 マーガンサー: 乗客5-8名の輸送機。1機が完成し、2機が胴体まで作られた。
• - P.48A マーガンサー: 水上機型の提案機で、製作されず。
• - P.48B マーガンサー: スキー装着型の提案機で、製作されず。
• - P.49 マーガンサー II: 空中探査機の提案機で、製作されず。

要目

以下にマーガンサーの基本的な諸元を示します：

• - 乗員: 2名
• - 定員: 5名
• - 全長: 14.56 m（47 ft 9 in）
• - 翼幅: 12.40 m（40 ft 8 in）
• - 空虚重量: 2,409 kg（5,300 lb）
• - 運用時重量: 3,318 kg（7,300 lb）
• - 動力: デ・ハビランド ジプシー・クイーン 51または71空冷直列6気筒エンジン×2

- 出力: 221 kW（296 hp）

• - 性能:

- 最大速度: 311 km/h（168 knots）
- 巡航速度: 258 km/h（139 knots）
- 航続距離: 1,228 km（800 mi）
- 上昇率: 5.1 m/s（1,010 ft/min）
- 実用上昇限度: 7,310 m（24,000 ft）

マーガンサーはその独特な設計から注目を集めましたが，エンジンの問題によって広く使用されることはありませんでした。しかし、試験プログラムからの教訓は、今後の航空機開発において重要な役割を果たしました。

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